役員退職金の「適正額」…算出方法は?
ご存じの方も多いと思いますが、役員退職金は適正金額の範囲内であれば、税務上、全額を損金に算入することができます。しかし、不相当に高額な部分の金額については損金不算入になります。
金額が適正か不当に高額かどうかを判断するのには、一般的に「功績倍率法」という計算式が用いられますが、功績倍率法による役員退職金の適正額の計算式は、次の通りです。
役員退職金の適正額
=退任前の最終報酬月額×通算役員在任年数×役位別に定める率(功績倍率)
この功績倍率は、以下の数字が一般的な水準とされています。
・専務…………2.4倍
・常務…………2.2倍
・平取締役……1.8倍
・監査役………1.6倍
これはあくまで計算上の数値ですが、現実問題として、社長の功績倍率はどのくらいで設定されているのか。先の調査では、社長の功績倍率の平均値は2.04倍という結果が出ています。一般的な水準とされる3.0倍未満の割合は実に7割を超えるわけですね。
役員退職金は、経営者の引退後の生活費を支える大きな資金源となります。おそらく多くの経営者は、小規模企業共済制度や生命保険など、さまざまな方法で退職金の準備をしていることと思います。
これも事業承継と同様、早い段階からスタートするに越したことはなく、独断や思い込みで準備を進めるのではなく、専門家の意見を聞いて対策を考える必要があります。
小形 剛央
税理士法人小形会計事務所 所長
株式会社サウンドパートナーズ 代表
税理士・公認会計士
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走