検索
「書類の修正が負担」現場の声で自動化を決定
その結果、現場からは大量の要望を得た。僕も僕なりのアイデアを出した。こういう機能があればクロスセル、アップセルが実現できるのではないか、この作業をDXすれば工数とコストが減らせるのではないかと考えて、それを定例のミーティングで提案し、DXチームに検証してもらった。
それから間もなくして、数ある案件の一つとしてCRMツールのUI向上と現場の負担軽減のためにある部分にRPAを導入してはどうか、という案がDXチームから上がってきた。
サイトウ（※）は現場のヒアリング内容をまとめたリストと、対応可能な機能を実装するコストを概算した表をモニターに表示した。そこには「RPA導入によって作業時間を50時間短縮可能」など、導入効果としてどれくらいの作業時間、コスト、工数が削減できるかの見積もりが記載されていた。こうした効果の算出も現場でのヒアリングに基づいている。
※サイトウ：DXプロジェクトの専任リーダーとして筆者の会社に新しく採用された人物。
書類の抜けや不備を探したり、修正するためにほかのデータと突き合わせをしたりする作業は以前から現場の負担になっている。そもそもの発端は、遅くまで書類の穴埋めをしている社員を見たことだった。彼らが所属する賃貸管理部門以外からも、顧客情報の入力や管理に掛かる作業をなくしてほしい、簡略化してほしいといった改善リクエストの声が上がっている。
その問題をRPAで解決する。仕組みとしては、書類の空欄をRPAが見つけ、ほかの書類を参照して自動的に埋めてくれる。入力済みの項目についても、ほかの書類やデータベースを参照して、相違がある場合にエラーを出し、間違いを指摘する。
チェックやエラー出しのプロセスさえあらかじめ設定しておけば、書類記入のような単純作業の負荷を減らすことができ、誤入力などのヒューマンエラーも減らせる。
良いアイデアだと思った。作業時間が50時間減るのも大きな効果だ。実装までに掛かるコストは10万円と書かれているが、50時間の削減で10万円なら安い。効果の見積もりについては半信半疑だったが、一つ明確な効果が出ることでDXの推進力が上がるかもしれない。
メンバーはきちんと試算したのだろうし現場の声も踏まえている。それなら、やってみるか。僕はそう考えてその案件を承認した。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け！》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら
