(※写真はイメージです/PIXTA)

たとえば仕事上のやりとりをしているとき、同じような場面で同じようなやりとりをしていても、相手によって仕事の出来・不出来や、やりやすさ・やりにくさが出てくるのはなぜでしょうか。その違いは、感情的なレベルでの信頼関係のあるなしで生じていると指摘するのは、明治大学文学部教授の齋藤孝氏です。著書『究極 会話の全技術』(KADOKAWA)から、コミュニケーションにおいて大切なことについて詳しく解説します。

「パワハラ」「セクハラ」「差別」には要注意!現代のパブリック空間はとても広い

最近、とくに気をつけなければならないのが「パワハラ」「セクハラ」発言です。

 

もちろん、「パワハラ」「セクハラ」問題は以前から存在していました。とくに近年はそれに対する問題意識が高まっていき、現在では社会人として絶対に許されざる発言となっています。

 

さらに、性別や性的指向、人種その他への「差別」発言も大きな問題となります。そのあたりへの意識が低い人は、すぐにでも意識改革していかないといけません。

 

私もよく出演しているテレビのような公共電波の世界では、こうした問題に対して非常に厳しい基準を持っています。しかし、「自分はテレビに出ない普通の会社員だから……」などと思っていると、とても危険です。会社でも、一流企業ほどこうした問題については厳しくなってきています。

 

パワハラ、セクハラ、差別に関してルーズな人は、周りに迷惑というだけではなく、時代遅れになっています。そして、これからますます生きづらくなっていくでしょう。場合によっては、それらが原因でクビになってしまうことさえあります。

 

もう一つ、とても重要なことがあります。

 

世の中には打ち解けて話しても大丈夫なプライベートな空間と、そうではないパブリックな空間があります。このプライベートな空間とパブリックな空間を、常に意識しておかなくてはなりません。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

さらに、この世界のほとんどすべての空間はパブリックな空間だということを、いつも忘れないようにするべきです。

 

家族や本当に仲のよい人たちが相手で、閉じられた空間であればプライベートな空間だと言えるでしょう。しかし、それ以外の場は、たとえ会話相手がいない場所でもパブリックな空間なのです。

 

また、インターネットの普及により、現代人はパブリックな空間に常時接続するようになっています。

 

その典型が、ツイッターでしょう。自室でやっているときには、ついつい忘れがちですが、それらはもちろんパブリックな空間であり、安易につぶやくと危険です。

 

どんなことをつぶやくにせよ、世界中に発信しているのだという意識を持つことが必要です。

 

とくに「パワハラ」「セクハラ」「差別」発言をはじめとする、人を攻撃する表現をネットに発信するという行為は、多くの車が猛スピードで走っている大通りを、信号無視して渡るようなものだと認識しなければなりません。

 

自分は仲間内でのやりとりだと軽い気持ちでつぶやいたつもりでも、それが誰かの目に留まり、反感を持たれた時点で、あっという間に負の情報として拡散していきます。その結果、社会人として失格の烙印(らくいん)を押されてしまう可能性さえあります。

 

私たちは、もはや、そういうことが起こり得る社会に生きているのだということを忘れてはいけません。

 

コミュニケーションでの便利さ、快適さ、快楽というものもあると思いますが、それに伴うリスクや、あるいはストレスというものを考えたときに、手段をある程度セレクトしていく必要があるでしょう。

コミュニケーションツールの選択でライフスタイルが左右される時代

さらに言うならば、今や、ツールのセレクトによってコミュニケーションのあり方そのものが変わるということを認識してほしいと思います。

 

たとえばネット系のコミュニケーションツールの活用に膨大な時間をとられてしまい、リアル世界で身動きがとれなくなっている人がいます。そういう意味では、コミュニケーションの手段をいかにセレクトするかによって、自分のライフスタイルが左右されかねない時代になっているのです。

 

現代社会は、お互いの時間を奪い合う社会です。その中で、自分らしく生きるにはどうすればいいのか。一度、自分のコミュニケーションツールを見直すことも必要だと思います。

 

齋藤 孝

明治大学文学部教授

 

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本連載は、齋藤 孝氏の著書『究極 会話の全技術』(KADOKAWA)から一部を抜粋し、再構成したものです。

究極 会話の全技術

究極 会話の全技術

齋藤 孝

KADOKAWA

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