(※写真はイメージです/PIXTA)

健康な70代の過ごし方が、その人がどう老いていくかを決めます。要介護状態を遠ざけ、自立した80代以降の老いを迎えるためには、どうすればいいのでしょうか。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術』(マキノ出版)で解説します。

高齢者の意欲の低下には3つの原因がある

■意欲が低下すると老化が加速する

 

シャキッと元気な老後を過ごすには、自分の意志で動けるうちにフレイル対策を始めることが大切です。フレイル対策でカギとなるのが「意欲の低下」を防ぐことです。

 

人間、意欲が低下すると、「動くのが億劫」「人に会いたくない」「ゴロゴロしていたい」と活動性が下がります。

 

人に会う機会が減ると、身なりにも気を使わなくなり、外見も老け込んでいきます。そうなるとますます人に会いたくなくなって社会とのつながりが薄れていきます。

 

体を動かさない生活が続くと筋肉量が減り、筋力が低下して足腰が衰えます。

 

動かないのでおなかも空かなくなり、食欲がおちて栄養不足になり、さらに筋肉がやせてしまい運動機能が低下するという負の連鎖が止まらなくなって老化に拍車がかかります。

 

■まだ間に合う!足し算で脳と体の衰えを予防・改善

 

年をとると、なぜかやる気や気力がなくなったと感じることがあります。実は意欲の低下も老化現象のひとつです。意欲の低下には主に三つの原因があります。

 

一つは脳の神経伝達物質であるセロトニンの減少です。セロトニンは心のバランスを整える働きがあります。加齢によりセロトニンが不足すると意欲の低下やイライラ感、うつ病を招きます。

 

二つめは脳の前頭葉の老化です。前頭葉は意欲や創造性をつかさどる部位で、40代、50代から衰えはじめ、60代以降に本格的に老化が進みます。前頭葉が老化すると、新しいことに挑戦する意欲や創造性が失われ、感情の切り替えがうまくいかなくなります。

 

たとえば、ランチは行きつけの店にしかいかないし、知らないメニューは頼まない。怒りがいつまでもおさまらない。頑固で人の意見に耳をかさないなどは前頭葉が老化しているサインです。

 

三つめは男性ホルモンの減少です。男性の場合、男性ホルモンが不足すると性欲が衰える、EDになる、人・社会にたいする関心が薄れる、共感力が低下する、人づきあいが億劫になる、意欲が衰える、記憶力や判断力が低下する、筋肉が減って脂肪におきかわり体形がくずれるなど心身に変調をきたします。

 

ここまで読んで「ダメだ、もう間に合わない」と思う人がいるかもしれませんが、心配はいりません。意欲や体力の低下は、足りないものを足すことで予防・改善できるからです。結果的にフレイルの予防・改善にもなります。

 

和田 秀樹
ルネクリニック東京院 院長

 

 

↓コチラも読まれています 

「意欲の低下」は気持ちの問題でも年のせいでもないという理由

70歳でも若さを持続できる人と一気に衰える人の決定的な違い

若返るのではなく「死なない」だけ…「人生100年時代」の悲愴

寿命が伸び続けても「脳の老化は止められない」という怖い現実

弟の東大現役合格で確信!「受験は才能ではなくて要領である」

※本連載は和田秀樹氏の著書『シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術』(マキノ出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

和田 秀樹

マキノ出版

老化による脳や体の衰えは避けられないもの。しかし「もう年だから」とあきらめることはありません!現代の710代は、老いと闘える最後の世代! 70代になったら薬で数値を下げたり、塩分や脂質の低い食事をションボリ食べる「…

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

和田 秀樹

廣済堂出版

70代は人生の下り坂に差し掛かった時期。一気に滑り台のようにおりていくか、鼻歌でも歌いながら気長におりていくか……。80代、90代を迎える大事な時間である70代をいかに過ごすべきか。30年以上にわたり高齢者医療に携わって…

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

和田 秀樹

大和書房

親の言葉かけが、子どもを東大へ行かせます。 罰しても子どもは勉強しません。なぜなら自分に価値があると思うときに子どもは勇気を持てるからです。アドラーは親子関係を対等なものと考え、子どもが人生の課題に取り組み、乗…

東大医学部

東大医学部

和田 秀樹 鳥集 徹

ブックマン社

灘高→東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らない…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録