(※写真はイメージです/PIXTA)

仕事をやめるとあっという間にボケが始まったり、病気になったりすることも多いのです。脳と身体は使わなくなったら、退化していき、高齢になるとそのスピードは加速していきます。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

元気でいるコツは「脳と身体は使い続ける」

■簡単に引退をしてはいけません

 

労働には定年退職があります。会社の場合、再雇用で延長され続けても限界はあります。いつか引退するときがきます。しかし、「仕事」や「活動」には定年はありません。簡単に引退をしてはいけません。

 

これは、ハンナ・アーレントの「労働」「仕事」「活動」を思い出せばわかっていただけると思います。

 

趣味で大工仕事が好きだった男性がいます。朝日新聞のいしいひさいちの漫画「ののちゃん」のお父さんのようと言っては失礼かもしれませんが。そのときどきのマイブームなものをつくり続けるそうです。そのときは、鳥のえさ台をつくっては近所の人や親せきにあげていました。

 

しかし、それが迷惑だと子どもたちが大工仕事をやめさせたそうです。

 

「お父さん、もう90近いのだから、そんなに動かないでゆっくりしてください」

 

男性はおとなしくなり、部屋にこもるようになりました。

 

子どもたちも心配しましたが、年だから仕方ないと放っておきました。3年後、男性が脳梗塞で病院に運ばれたとき、男性の部屋を掃除したら、小さな豆本をいっぱい箱にしまっていたそうです。

 

家族に何を言われようが、自分の手を動かしてつくるという仕事は死ぬまであきらめなかったのです。

 

世間には善意で、「お父さん、もうゆっくりしていなさい」「お母さん、外に出て転ぶのが心配だから、そう出かけるものではないわよ」と言ってくれる子どもたちがいます。

 

「いつまで自治会の役員をやっているの。もう引退しなさい」

 

なんていう圧力は、家族から出る場合が多いです。

 

そういうのに負けて引退すると、あっという間に本格的なボケが始まったり、なぜか病気になったりすることも多いのです。

 

なぜだかみなさんはもうわかりますね。脳と身体は使わなくなったら、退化していきます。高齢者になるとそのスピードは加速していくからです。

 

元気でいるコツは、「脳と身体は使い続ける」。これを覚えておいてください。

 

次ページ毎日が日曜日の高齢者は老いが加速する

本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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