※画像はイメージです/PIXTA

コロナ禍にあるニュージーランドですが、11月には2年ぶりの「ジャパンデー」が開催され、あらゆる日本の文化やビジネスが紹介されました。なかでも現地の人を驚かせたのは日本の不動産価格です。広い住宅が一般的だったニュージーランドも、いまでは不動産価格が高騰。状況は目まぐるしく変化しています。現地のベテランエージェントが解説します。※本記事は、2022年11月6日現在の情報に基づいて執筆されています。

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    ファーストホームバイヤーたちの苦悩

    営業していると、ファーストホームバイヤーでこのような物件に手が届く方はほとんどいないように感じます。

     

    やっと銀行の住宅ローンの認可が下りたとしても、「希望物件の最低価格の95万NZドルが出せない。92万NZドルまでなら出せる。価格交渉をできないものか」と懇願してくるファーストホームバイヤーは少なくありません。

     

    しかし、売り手のほうもまたシビアで、「そこまでは下げられない。本来であれば100万NZドルに近い数字で売りたいが、いまマーケットが冷え込んでいるから、値下げして95万NZドルでもいい、と妥協しているんだ。92万NZドルなんて安すぎる!」というような会話が多く交わされています。

     

    私たち不動産仲介人としても、このような両者をくっつけるのに必死です。

     

    この2~3万ドルの追加は、ファーストホームバイヤーにとって厳しいものとなります。開発会社は「3万ドル追加するくらいどうということはない、いまこの値段で買っておけば、将来きっと値上がりするので、いい条件なのですよ!」と簡単に言ってのけますが、若い世代にとっては「目先の100ドル」が非常に大きい…。

     

    慎重な検討の結果、妥協して予算内のタウンハウスを買う、というのがよくあるパターンなのです。

     

    タウンハウスを買うにしても、最初は「ガレージがないと嫌だ。部屋数は3ベッド、バスルームも2個は必要、それから角部屋…」などと、当初は多くの希望条件がありますが、最終的には真ん中に立つ、カーポートしかついていない90万NZドル以内のタウンハウスに落ち着くことも少なくありません。

     

    100万NZドル越えの予算がある方は、狭いタウンハウスではなく、中古の一戸建てを買うことができます。しかし、ファーストホームバイヤーが新築を買う際には、特別枠でのローンが組めます。そのメリットを最大限に生かす物件選びをしようと、皆必死なのです。

    変化を遂げたNZの生活スタイルに、一抹の寂しさ

    今日のオークランドでは、いたるところにタウンハウスを見かけます。

     

    ニュージーランドの人達の生活ぶりの変化に、過去の実情を知る筆者は心配になることもありますが、実際問題、オークランドで1000㎡の土地の3LDKの家を買える人は、もはや超富裕層しかいないのです。

     

    広い家での暮らしを求め、都市部のオークランドから地方へ移住する人も増えています。

     

    家と同様、広い庭を求めるニュージーランド人は少なくありません。タウンハウスには小庭があるので、多少はガーディニングも楽しめますが、アパートの高層階の場合は、単なる箱型住居のため、これもまた、ニュージーランド人の生活様式に変化をもたらしています。逆に、箱型住宅に慣れているアジア系には、庭の手入れをおこなわずにすむことや、見晴らしがいいことから、アパートに根強い人気があります。

     

    ニュージーランドらしいライフスタイルとは、一体なんなのだろう…。現在の状況を見るにつけ、そう考えずにはいられません。

     

     

    一色 良子
    ニュージーランド在住不動産エージェント

     

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