(※写真はイメージです/PIXTA)

老若男女問わず患者が多い「口内炎」。症状を放置するか、すぐに病院に行くかは人によってまちまち。しかし、口内炎にはときに重大な疾患が隠れているケースがあります。そのデッドラインとは―。これまで20年以上に渡り人々の口内を見続け、海外でも診療をしてきた馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長・木村至信医師に解説いただきます。

さらに、口内炎ができやすい人は、ビタミンB群の摂取が不足している可能性も考えられます。口内炎の緩和に特に効果的と言われるのは、ビタミンB1・B2・B6といったビタミンB群です。

 

中でもビタミンB2は“発育のビタミン”と呼ばれるほど、成長促進や健康な身体を維持するために欠かせない栄養素です。皮膚や粘膜を保護し成長を促すというのもビタミンB2の重要な働きであり、口内炎の予防や緩和に良いとされる理由です。特に生理前やストレス、アルコールの摂取はビタミンBを多く消費します。日頃からビタミンB群を多く含んだレバーや納豆、ほうれん草、卵、落花生、赤ピーマンなどを積極的にとるように心がけましょう。

 

岡山大学の発表で口内炎が出来やすい人の食事は、一般の人と比べてカルシウムとビタミンCが不足しがちであるというデータがあり、私はビタミンBと一緒にCも摂るようにお勧めしています。サプリメントでも良いですね、1日100円程度です。

基礎疾患、免疫不全、口腔がん…長引く口内炎は危険信号

口内炎は、疲れている自分の体のSOSでもあります。口内炎になったらまずはしっかり休養をとり、身体の抵抗力を高め免疫力を回復させることが大切です。また、口の中は癌のできる場所でもあるという認識も、常に持っていないといけません。そのデッドラインはだいたい2~3週間経過しても治らないかどうかです。さらに通常の口内炎とは異なり痛みが強かったり、出血、しこりがあるなどその様子に異変を感じたら、病院に行くことをお勧めします。

 

以前タレントさんが、歯科でレーザー治療により口内炎を治療してもらっていて、後に実は進行した舌癌だったという話が有名になりました。口内炎治療が長引く場合は、必ず病院や科を変えた方が良いです。長引く場合は癌だけでなく、基礎疾患や免疫不全など、必ず何かがあるはずです。

 

ちなみに、口の中にできるがんを総称して口腔がんといいます。舌にできる舌がんは代表的な口腔がんで、口腔がんの半数以上を占めています。2016年のデータですが、年間8000人ほどがかかり、がん全体の約1%ですが、日本国内のみならず、世界的に見ても、罹患率、死亡率とも上昇傾向にあります。また女性より男性に多い(男性:女性=3:2)という特徴もあります。

 

初期の口腔がんでは、痛みのようなはっきりとした症状はあまり見られません。舌や口の中の粘膜の変化(色が白く変化したり、赤みが強くなる、ただれる、ザラザラしたり、しこりを感じるなど)が表れることもあるのですが、これらは口腔がんだけに特徴的な症状ではないため、がんかどうかを見極めるのは非常に困難です。しかし、ただの口内炎だと思って放置していたら、実はがんだった、という患者さんは決して珍しくありません。ためらわず、耳鼻咽喉科の専門医を受診することも大切なのです。

 

「こんな程度で病院に来たの?」という態度の医者は、必ず何かを見落とします。こんな程度だからこそ初期の段階で病気を見つけられるかもしれないチャンスなのです。たしかに、時々本当に「これが病気?」というレベルで来られる患者さんもいらっしゃいますが、それはメンタルの病気のサインかもしれない。どちらにしろ見落とさない方が良いのです。

 

健康の勝ち組は、人生の勝ち組です。その秘訣は早期発見、早期治療。どの病気にもデッドラインがあります。ぜひ見落とさないように過ごしていただければ幸いです。

 

木村 至信

馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック 院長

 

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