(※写真はイメージです/PIXTA)

地方では、人手不足や若者の都市部への流出、後継者不在等の問題が深刻化していますが、それらはITをフル活用することにより解決することができます。現在、少しずつですが地方でIT企業を立ち上げ、地元に根付いてさまざまなITサービスを担う若い人が増えています。青森県十和田市のTさんの例を紹介します。

就活に失敗し、東京の大学で情報工学を学ぶ

Tさんは市内の工業高校の出身です。

 

ご両親思いの好青年で、高校卒業時は東京の有名大手企業に就職してまず親を安心させたいと思っていたんです。

 

目標とする会社のことも在学中からしっかり調べて就職試験に臨んだのですが、残念ながら不採用でした。

 

本人はがっくりと肩を落としましたが、ご両親が「慌てなくていいから、もっと勉強して視野を広げ、社会のことも学んだほうがいい。応援するから大学にいけば」とすすめてくれたそうです。それでTさんは東京の大学に入って、もともと興味があった情報通信工学の勉強をしてシステムエンジニアのスキルを身につけました。

 

Tさんが新卒で就職したのは、エスアイアー(SIer)と呼ばれるシステム構築を請け負う会社で、決済関係の業務システムを担当する部署に配属されたそうです。

 

でも彼は、東京でずっと仕事を続けるつもりはなかったんですね。いずれは地元に帰って、地元の役に立つことをしたい、と考えていたんです。故郷の十和田市が好きだったからです。

 

しかしTさんは「いかに地元の人間でも、SEとしてのスキルがあるというだけでは仕事はない」と考えて、東京にいる間に仕事の幅を広げ、人脈も作って、東京から注文を受けられるようにしておこうと計画しました。

 

最初の就職先で業務システムについては学んだから、もう少し経験を積もうとWeb制作の会社に転職します。入社時は正直に、いずれ独立して田舎に帰るつもりだが在籍している間はとにかく会社のために頑張りますと伝え、社長もそれを理解したうえで雇ってくれたそうです。

 

その会社でWebアプリの制作について経験を積んだTさんは、計画どおり、1年半勤めたあとで個人事業主となって独立します。ただ、このときすぐ地元に帰ったわけではありませんでした。

 

一度帰ったらそのままずっと仕事をしたい、うまくいかないからまた東京に戻るというようなことはしたくないと考えていて、念入りに準備をしようと思ったのです。

 

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地方で稼ぐ!ITエンジニアのすすめ

地方で稼ぐ!ITエンジニアのすすめ

村岡 佑紀

幻冬舎メディアコンサルティング

ITエンジニアは、誰もが想像するような、一日中パソコンに向かってひたすらコードを書く仕事だけではありません。プログラミングをしないITエンジニアはいくらでもいます。 文系出身の人やもともとITのスキルがなかった人で…

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