(※写真はイメージです/PIXTA)

企業が作成する財務諸表のなかで最も注目されるのが「損益計算書」です。企業が「儲かっているのか、損しているのか」が明確にわかるだけでなく、シンプルで初心者にも理解しやすいところもポイントです。経済評論家の塚崎公義氏が平易に解説します。

受け取った利子や配当等、本業外の損益が「経常利益」

「経常利益」=「営業利益」+「営業外損益(営業外収益 − 営業外費用)」

 

営業外損益というのは、本業以外での損益のことで、受け取った利子や配当等から支払った借入金利を差し引いたものです。支払った配当は、最終的な利益の中から支払われますので、ここには出て来ません。

 

経常利益という名前のとおり、会社が経常的に利益を稼げているか否かを見るものですから、昔買った土地を今年売った事で利益や損失が出たり、大災害で大きな損失を被ったりした場合には、そうした金額は含みません。

経常利益との違いは?…「税引前当期利益」

「税引前当期利益」=「経常利益」+「特別損益(特別利益 − 特別損失)」

 

経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いたものが税引前当期利益です。昔から持っていた土地を売った時に利益や損失が出ても、それは会社の稼ぐ実力とは無関係だとみなして、経常利益には含まないわけですが、決算書に載せないわけには行かないので、特別利益や特別損失という項目をたてて計上します。

 

もっとも、特別利益や特別損失は、通常は発生しないわけですから、決算書に載ることは稀です。特別損益がない場合に、経常利益と税引前当期利益を両方載せる必要はないということで、経常利益の掲載を省略する会社も多いようです。

 

経常利益が損益計算書に載っていれば、それが会社の稼ぐ実力を示すものと考えていいでしょうが、載っていない場合には、税引後当期利益が経常利益と同じだということですから、こちらを稼ぐ実力と考えていいでしょう。

株主の儲けがわかるのが「当期利益」

「当期利益」=「税引前当期利益」−「法人税等」

 

会社は、税引後当期利益から法人税を支払って最終的な利益と認識します。したがって、株主の儲けを知りたい場合には、当期利益を見ることになります。このうち、配当されなかった部分が内部留保としてバランスシートに反映されることになるわけです。

 

もっとも、株式投資をする場合には、特別損益等で赤字になっていても経常利益がプラスであれば、稼ぐ力のある企業として投資対象となり得ますので、両方見る事が重要ですね。

 

今回は以上です。なお、本稿はわかりやすさを優先していますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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