【自営業者は蚊帳の外】晩婚家庭に優しい、厚生年金の「加給年金」という制度【CFPが解説】

【自営業者は蚊帳の外】晩婚家庭に優しい、厚生年金の「加給年金」という制度【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

晩婚化が進む日本では、夫が定年退職後も子どもは学生という家庭が珍しくありません。以降は夫の年金と、妻が働いていればその給料が生活資金になりますが、夫が会社員や公務員として20年以上厚生年金に加入していた場合、家族の年齢・構成によっては、家族手当ともいえる「加給年金」が受給可能です。トータルの受給金額は数百万円になることもあり、制度のない自営業者とは大きな差が開くことになります。

55歳パート女性「夫が定年退職、子はまだ小中学生…」

「10歳年上の夫と結婚して15年。晩婚だったので、長女は14歳、長男は12歳です。来月、会社員の夫が65歳になるので、それを機に夫は仕事を辞める予定です。これからの収入は私のパート収入と、夫の年金となりますが、まだ子どもに教育費等がかかるため、生活費が足りるのか心配です」

 

厚生年金には、「加給年金」という制度があります。「加給年金」は、厚生年金に20年以上加入している被保険者が65歳になった時点で、その人に生計を維持されている次に該当する配偶者もしくは子どもがいる場合に支給されます。

 

[図表1]厚生年金の「加給年金」

 

「加給年金」は「家族手当」のような制度なので、定年退職を迎えて収入が減った際の強い味方となります。

 

また、ここでいう「生計を維持されている配偶者・子ども」というのは、同居していなくても、仕送りをしていたり、健康保険の扶養親族等であれば認められます。一方で、配偶者・子どもの年収が850万円以上である場合は、たとえ同居していたとしても認められません。また、パートで働いている人は、収入を103万円未満または130万円未満に抑えようとされていることが多いですが、「加給年金」を受取れる収入の基準は850万円です。

 

さらに配偶者には、厚生年金の受給権者の生年月日に応じて次の額が特別加算されます。

 

[図表2]配偶者加給年金額の特別加算額(令和4年4月から)

加給年金は定額支給…収入が少なかった方がお得感アリ

「加給年金」は定額の支給です。ですので、現役時代に収入が多かった人も少なかった人も、同じ額の支給となるのです。したがって、現役時代の収入が少なかった人の方が、収入が多かった人よりもお得感があります。

 

それでは、冒頭の家族の場合、この「加給年金」をいくら受取れるかというと、

 

①長女が高校を卒業するまで

388,900円 + 223,800円 + 223,800円 = 836,500円

 

②長女が高校を卒業後、長男が高校を卒業するまで

388,900円 + 223,800円 = 612,700円

 

③長男が高校を卒業後、妻が65歳になるまで

388,900円

 

を、夫の老齢年金にプラスして受取ることができます。

 

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