未来では子どもの多角的な情報をデータベース化
「ブロックチェーン」という言葉でイメージがわかない人は、ここでは「さまざまな人がアクセス可能な巨大なデータベース」のことだと思ってもらえば十分です。
個人の学習履歴や生体情報、能力、人となり(第三者による評価)、課題活動の実績など、その子の教育に関するデータを一つのデータベースに保存し、アクセス権を持つ機関だけがその情報を閲覧できる包括的なしくみです。
データは個人情報ですから、すべての情報をオープンにする必要はありません。何を開示して何を非開示にするかは行政と教育機関が議論を重ねながらルール作りを行い、必要なデータを必要な機関に即座に開示できるしくみを構築していくことが望ましいでしょう。
従来、個人の教育データといえば履歴書や卒業証明書くらいしかありませんでした。
それが完全にデジタルで一元管理できるようになり、さらにそのデータを分析するしくみができると、AIの手を借りた、より多面的な総合評価が可能になります。
大学入試や採用試験も、教育ブロックチェーン上のデータの審査とオンライン面接だけ、という時代がやってくるのです。
弊社の主力商品がロボット・プログラミング教材のため意外に思われることが多いのですが、私自身は、ロボットよりもブロックチェーン関連技術の研究により長く携わってきました。
20数年前にソニーに入社した時点で、ネット上で管理・取引できる電子マネーについての研究希望を出していましたし、2008年にブロックチェーン技術によるビットコインが出てきたときはそのコンセプトとしくみの完成度の高さに感動し、本業のかたわら、ブロックチェーン技術を用いた事業のアイデアをよく考えていたものです。
そして弊社を立ち上げた翌年の2016年には、かねてより温めていた「ブロックチェーンを利用した学習到達・活動記録のオープン化技術」を発表しました。
教育におけるステークホルダーがさまざまなインセンティブを軸に結びつき、中心となる学習者を有形無形に支える壮大なエコシステムを作ることを目標に掲げたのです。
当時は総務省がスマートスクール実証事業を開始しており、弊社もブロックチェーンを活用した教育データの流通をテーマに事業を受託することになりました。