富裕層は手元資金が豊富で忙しい人が多いため、投資用物件の紹介を業者に丸投げする人が少なくありません。しかし、そのようなやり方は避けたほうがいいと、株式会社有栖川アセットコンサルティング代表取締役の鈴木子音氏はいいます。少しの事前知識だけで、あとは「業者に言われるまま」テナントビルを購入してしまった弁護士のEさんの事例から、不動産投資の成功に必要な考え方をみていきましょう。

不動産会社に丸投げすると…

富裕層は手元資金が豊かであるゆえに、不動産会社に物件の紹介を任せきりにしてしまいがちです。手元の大まかな予算を伝えたうえで「条件の良い物件があれば知らせてほしい」と依頼してしまうパターンです。実際にこうした依頼を行い、良い物件が見つからなかったという人もいると思います。

 

予算額のみ提示し、物件の紹介を受け続ける物件探しは、よほど富裕層本人が不動産に知見がある人ではない限り、成功する確率は低いといわざるを得ません。

 

富裕層の場合の不動産投資は、資産背景や所得とのバランス、得られる税制優遇等を併せて総合的見地で物件を選ばなければ良い結果が得られませんが、それができる不動産会社は少なく、まずはその見極めが必須だからです。

 「言われるまま」テナントビルを購入したEさん

Eさんは弁護士事務所を経営する弁護士です。日々忙しく過ごしているため精査して投資を行う余裕もなく、現金が貯まり続けることに危機感を抱いていました。

 

ある日、知人から不動産経営は安定して収益を生むことができるリスクの低い投資だと聞いて、さっそく投資用不動産を扱う不動産会社をインターネットで探し、面談を申し込みました。

 

不動産に投資する予算として現金がおよそ2億円あると伝えたところ、担当者は満面の笑みで「それだけあれば、立地を選べば都内に一棟マンションを購入できます」と話し、早めに候補物件をリストアップすることを約束しました。

 

不動産会社のレスポンスは早く、次の日には2億円前後で購入できる複数の物件候補のリストが送られてきました。

 

「これだ」という物件は特になかったため2日ほど放置していたところ、担当者から電話を受け「決断を先延ばしにすれば、その分の賃貸収入を逃すことになる」と伝えられました。

 

悩んだ末にEさんは、候補のうちから比較的良さそうな一棟を選択して購入しました。購入した不動産について特に不満はありませんでしたが、後日知人から「不動産投資は手元資金に余裕がある場合でも融資を受けるべきだ」と指摘されました。Eさんは融資を受けることで、より大きな収益を得るチャンスを逃したことをのちに知ったのです。

 

単なる物件紹介にとどまる不動産会社の言いなりになるのではなく、投資の知見に長けた会社と資産の活用について相談したうえで判断をすべきだったと今では後悔しています。

 

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※本連載は、鈴木子音氏の著書『不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略

不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略

鈴木 子音

幻冬舎メディアコンサルティング

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