(写真はイメージです/PIXTA)

相続人同士の話し合いで感情的になって大ゲンカ、生前の相続対策がまともにできないまま認知症となってしまった被相続人……このような遺産分割を巡った事件は年間1万件を超えており、日々さまざまな「争族」が起きていると、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。「悲惨な相続事例」を生まないため、元気なうちにできることはなにか、相続紛争の経験豊富な堅田弁護士が解説します。

増加する“遺産紛争”…「遺産分割」までの3ステップ

相続が発生し、遺産を巡って相続人間で紛争となる場合は少なくありません。特に、遺産分割に関する事件数は、年々増加傾向にあります。

 

【遺産分割事件数】

・平成14年度……9140件
・平成21年度……1万0741件
・令和元年度……1万2785件
(参照:司法統計情報 年報)

 

遺産を巡って相続人間で紛争となる場合は、主に以下の流れで遺産分割の手続きが進みます。

 

1.相続人間の交渉
2.遺産分割調停
3.遺産分割審判

 

1.と2.では、相続人全員が遺産の分け方を合意してはじめて、遺産分割が完了するという流れになります。相続人全員の合意があれば、遺産の分け方が決まりますので、必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はありません。

 

3.では、審判官(裁判官)が、遺産の分け方を決定しますので、相続人の合意は必要ありません。なお、審判官(裁判官)は、法定相続分どおりに遺産を分けることとなります。

 

交渉で分け方が決まらない場合は「遺産分割調停」

相続人間の交渉にて、遺産の分け方が決まらない場合は、遺産分割調停を申し立てます。
調停の申立てには、戸籍や財産資料等の書類、申立書の作成が必要となりますので、準備に1~3ヵ月かかります。

 

遺産分割調停では、東京家庭裁判所では以下のような流れで調停手続を進めることとなっており、他の裁判所でも同様の流れで進むことが多いです。

 

ⅰ:相続人の確認
ⅱ:相続財産の確認
ⅲ:相続財産の評価
ⅳ:特別受益・寄与分の評価
ⅴ:遺産の分割方法

 

調停を申し立てたからといって、すぐに遺産の分け方の話に進むわけではなく、相続人が誰か、相続財産はなにか等を先に決めてからでないと、基本的には遺産の分け方の話ができません。もし相続財産の範囲について、相続人間で合意が出来ない場合は、別途訴訟にて、被相続人の相続財産は何かということを決定する必要があります。

 

調停では、ⅰ~ⅴについて決めていきますので、申立てから調停にて遺産の分け方が決まるまで半年以上の期間がかかることも多いです。

 

「遺産分割審判」…1年以上かかることも

遺産分割調停を行っても、遺産の分け方が決まらない場合は、遺産分割審判の手続に移行します。

 

遺産分割審判では、通常の裁判のように、当事者の意見とそれらを裏付ける資料の有無等から、審判官(裁判官)が、遺産の分け方を決定し、遺産分割審判を下します。遺産分割審判の内容に不服がある場合は、即時抗告(不服申立て)をします。

 

遺産分割審判の手続きは、3ヵ月~6ヵ月程度かかることが多いですが、遺産内容が複雑であったり、双方の主張内容の検討のため調査が必要な場合等は、1年以上かかることもあります。

 

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