今回は、遺贈先の選び方を見ていきます。※本連載は、日本ファンドレイジング協会(代表、鵜尾 雅隆氏)刊行、『遺贈寄付ハンドブック』の中から一部を抜粋し、遺贈寄付の基礎知識とその留意点について紹介します。

遺贈先が具体的に決まっているタイプは少数派

Q:どんな考え方で遺贈先を決めればよいですか?

 

A:遺贈希望者のタイプを確認した上で想いを整理します

 

遺贈希望者には大きく2つのタイプがいます。

 

1つは支援したい活動分野や目的が明確で遺贈先(民間非営利団体)がハッキリと決まっているタイプ、もう1つは人生の最後に社会貢献をしたいけれどぼんやりとしたイメージしかないタイプです。

 

前者は、生前から寄付などの行動を通じて目に見える存在ですが少数派で、後者は良いアドバイスがあれば遺贈寄付を実行する多数派です。後者の想いを整理することが遺贈実現のカギとなります。

遺贈先の選定は財団やNPOに任せることも可能

では、次の手順で遺贈希望者の想いを整理しましょう。

 

(1)まず、遺贈者が、遺贈先を個別に選びたいのか、財団を作るなどして独自の寄付システムを構築したいのか、遺贈先の選定は任せたいのかを大まかに考えます。

 

遺贈先を個別に選びたいのであれば、どのような活動分野を選ぶのか、活動地域を選ぶのか、団体の規模を選ぶのか、税制優遇が必要か、遺贈財産として現金以外の資産が含まれるのか、というようなことをヒアリングしながら、遺贈先を絞っていきます。

 

【図表1】遺贈先を個別に選ぶ

 

(2)独自の支援の仕組みを作りたい場合には、自身で財団法人などを立ち上げるのか、すでに存在している法人内で冠基金などの形で受け入れるところがないのかを考えます。

 

【図表2】独自の支援の仕組みを構築

 

(3)遺贈先の選定も任せたい場合には、受け入れ先としてコミュニティ財団やNPOの中間支援組織などが考えられます。助成対象の地域や分野から、どの財団等に任せるのかを考えます。

 

【図表3】遺贈先の選定も任せたい

本連載は、2016年3月12日刊行の書籍『遺贈寄付ハンドブック』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

遺贈寄付ハンドブック

遺贈寄付ハンドブック

鵜尾 雅隆,齋藤 弘道,樽本 哲,脇坂 誠也

特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会

遺贈寄付の基本知識をQ&A形式で分かりやすく解説したハンドブックです。 高齢化に伴い、相続財産の寄付や遺言による寄付の関心が高まっています。しかし、法務的、税務的なリスクや経験不足などで進んでいない状況です。 受…

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