(※写真はイメージです/PIXTA)

円安が進み、日本円の価値は50年前と同程度にまで下がったといわれています。日本人も体感的に「貧しさ」を感じていますが、その原因は、多くの識者が語るように「円安」にあるのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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「外国人の給料と比べ、日本人の給料ときたら…」?

円相場が実質的に50年前の安さになっていると話題になっています。50年前と比べて海外の物価は大幅に上昇したのに、日本の物価はあまり上がっていないため、現状程度の為替レートであれば、50年前と輸出の困難度が同じくらいだ、ということです(『1ドル120円「実質50年ぶりの円安」と話題だが…1ドル300円時代と同じって、どういうこと?』参照)。

 

50年前と同じということは、過去50年の平均と比べるとはるかに円安だということですし、バブル期前後の厳しい円高と比べれば、輸出企業にとっては天国のような水準でしょう。

 

しかし一方で、それが日本人を貧しくしているという人が少なくありません。外国人の給料は大幅に上がっているのに日本人の給料は上がっていないから、日本人が貧しくなっている、というわけです。

 

ドルが高くなれば、円換算した外国人の給料は上がります。同じことですが、円が安くなれば、ドル換算した日本人の給料は下がります。したがって、給料を国際比較すると日本人の給料が割負けるのは当然です。

 

しかし、だから日本人が貧しくなっていると結論づけるのは早計です。ドルが高いことによって外国のほうが生活費も高いならば、生活水準は日本人と外国人と変わらないかもしれないからです。

 

そもそも、日本で暮らしている日本人の生活は、為替レートが変化しても基本的には変わりませんから、外国人と比較して貧しくなったか否かを考えること自体が不要なのかもしれません。

輸入価格が上がる一方、日本人の資産も増えている

日本で暮らしている日本人の生活も、円安によって少しは変化しています。海外旅行の費用は値上がりしていますし、海外から輸入されるモノは値上がりしているので、生活費は増えているわけです。

 

もっとも一方で、日本人の資産も増えています。日本は巨額の対外純資産を持っていますし、しかも資産は外貨建てで負債は円建てが主ですから、外貨高円安になると円換算した対外純資産は大幅に増えるわけです。

 

外貨を持っている資産家は儲かり、外貨を持っていない庶民の生活は苦しくなっているのだ、という考え方もありますが、それを強調しすぎるべきではないでしょう。

 

ひとつには、日本政府や公的年金等が保有している外貨が値上がりしている(あるいは海外のインフレによって高い金利が享受できている)部分については、国民全体の財産の増加ですから庶民にも当然に恩恵があるはずです。

 

もうひとつは、日本国民が全体として利益を得ているのであれば、あとは分配の問題ですから、資産家に増税して庶民に減税をするのか否かを議論すればいいわけです。

 

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