中小企業の「退職金」事情…半数以上が採用している制度に「多くのデメリット」

中小企業の「退職金」事情…半数以上が採用している制度に「多くのデメリット」
(※写真はイメージです/PIXTA)

「退職一時金」を準備するために、中小企業はどのような制度を使っているのでしょうか。ここでは「中小企業退職金共済(中退共)」について、「企業型確定拠出年金」と比較しながら、企業年金コンサルタントの細川知宏氏が解説していきます。

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中小企業の「退職金」事情

中小企業が退職一時金を準備するための制度として人気を誇っているのが、中小企業退職金共済(中退共)です。厚生労働省の「就労条件総合調査」(2018年)でも、退職一時金制度がある中小企業(従業員30~99人)のうち、半数以上が中退共に加入していました。

 

中退共は、自社単独で退職金制度を用意することが難しい中小企業のために国によって用意された、退職金の共済制度です。運営は独立行政法人勤労者退職金共済機構が行っており、2021年3月時点で約37万事業所・354万人が加入しています。

 

中退共は、企業が毎月一定額の掛金を納めることで、将来の給付の原資を貯めていきます。掛金は5000円~30000円までで設定可能です(短時間労働者は別設定)。勤続年数などにより、掛金に差をつけることは可能ですが、原則として従業員全員の加入が必要であり、期間労働者などを除いて、一部の従業員だけを加入させるといったことはできません。

 

掛金には国の助成制度があり、新規に中退共に加入した場合や掛金を増額した場合は、一定期間、掛金額の2分の1(上限5000円)の助成などが得られます。

 

また、退職金の運用、加入者(従業員)への通知、給付などの管理運営は、勤労者退職金共済機構がすべて行ってくれるので、掛金の拠出以外に、企業の運営コストはほとんどかかりません。

 

助成制度があることや、運営コストがほとんどかからないことから、特に規模の小さい中小企業に人気のある退職金制度となっています。

 

なお、退職金の受け取りは、退職時の一時金が原則ですが、分割(年金)受け取りを選ぶことも加入者の任意で可能です。また、中途退職の場合も受け取れます。

次ページ利回りが低い?「中退共のデメリット」

※本連載は、細川知宏氏の著書『社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法

社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法

細川 知宏

幻冬舎メディアコンサルティング

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