(写真はイメージです/PIXTA)

遺産をそのまま相続できる現物分割は最も分かりやすく、手続きも簡単な分割方法ですが、不公平な内容になりやすいというデメリットもあります。本記事では、現物分割するのが難しい相続財産の分割方法について、行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が事例をもとに詳しく解説します。

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遺産分割方法の話し合い

■事例

自転車修理・販売業をしていた父が死亡し、遺産として父名義の店舗兼自宅が残りました。相続人は私と弟ですが、2人とも父の生前は父を助け家業を手伝ってきました。

 

弟は家族を持ち、家を出ていますが、私は父と同居してきました。私は店舗兼自宅をこのまま残し、弟と家業を続けたいと思っています。相続の手続はどうしたらよいのでしょうか。

 

遺産分割は第1に遺言によって分割方法が決まっていればそれに従います。遺言がなければ、いつでも相続人間の協議によって遺産分割をすることができます。

 

本事例でも共同相続人である弟に対して、遺産である店舗兼自宅の相続について話し合いを持ちたい旨の申入れをすることができます。当事者の話し合いで遺産分割ができた場合は、遺産分割協議書を作成します。

 

しかし、当事者間で協議がととのわない場合は、共同相続人は家庭裁判所に分割の請求をすることができます。家庭裁判所は審判に先立ち調停による分割を試みます。

 

■遺産分割協議に必要な書類

作成書類……遺産分割協議申入書

添付書類……なし

申入時期……随時

申入者……相続人

申入先……他の相続人

申入費用……なし

今すぐに遺産分割することが難しい場合は?

今すぐに遺産の分割をすることが非常に困難な場合は、当分の間、遺産分割を禁止することが考えられます。遺産分割禁止は遺言、当事者の協議、さらには家庭裁判所の調停や審判ですることができます。

 

本事例では遺言がないので、当事者の協議、それがととのわない場合は、遺産分割禁止の調停を申し立て、最終的に審判で遺産分割の禁止をすることが考えられます。

 

ただし、家庭裁判所が遺産分割禁止を認めるには「特別な事由」の存在が必要です。この「特別な事由」とは「遺産の全部または一部を当分の間分割しない方が、共同相続人全員にとって利益になると思われる特殊な事情」とされています。

 

一般的には、相続人の資格や相続財産の範囲に争いがある場合、相続人や相続財産の現状が即時の分割に適さないとされています。本事例のように、相続財産が営業施設でしかも相続人全員がその経営に従事している場合は、相続財産の状態が即時の分割に適さない場合といえるため、特別な事由に当たるものと考えられます。

 

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本記事は行政書士法人ストレートのコラムを転載したものです。

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