(※画像はイメージです/PIXTA)

人生100年時代、私たちの人生の晩年は、大きく変わろうとしています。高齢者専門の医療現場に携わってきた精神科医の和田秀樹氏は、著書『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)のなかで、「人の老い」について解説しています。

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脳の老化を止めたり、脳の再生はできない

■早死にするか、認知症で亡くなるかの時代

 

私たちはこれまで、医学の進歩によって病気を克服し、寿命を延ばしてきました。たとえば、結核を克服したときには、日本人の平均寿命は20年ほど延びました。

 

現代医学は日々、ものすごいスピードで進歩していますので、近い将来には、がんの治療法が見つかる可能性もあります。もし、がんを克服できたら、平均寿命は5年ほど延びるのではないでしょうか。

 

かつて夢の新薬と話題となったオプジーボも、その効果は限定的なものであることがわかってきましたが、今後、別のタイプの薬が開発され、免疫の活性を上げる治療法が確立されるようになると、がんが克服されることも十分考えられます。

 

iPS細胞に関する研究の進捗も、非常に期待されるところです。iPS細胞とは、身体のさまざまな組織、臓器の細胞に分化することができる万能細胞です。つまり、この技術が進めば、老化した臓器を若返らせるようなことが可能となってきます。

 

たとえば、動脈硬化の見られるところに、この細胞を生着させて、古くなった血管を若い血管に再生させることができるようになるかもしれません。骨の細胞を再生して、骨粗しょう症を治療することもできるかもしれません。

 

すでに、眼科の治療においては、網膜の再生に実用化されていますので、あとはコストの問題ですが、近い将来に、iPS細胞を使ったさまざまな再生技術と治療法が一般化することは十分考えられます。

 

このような医学の進歩が、死に至るような病気を克服し、今後、私たちの寿命を延ばしていくと考えられます。

 

しかし、ここで大きな問題があります。医学の進歩が、がんや心疾患、脳血管疾患といった三大成人病をある程度克服し、また、iPS細胞を使った治療が開発されて、どのような臓器も新品に再生して若返らせることができたとしても、脳の老化を止めたり、脳を再生したりすることはできないという点です。

 

私たちの身体は、肝臓や腎臓、肌なども、その細胞は細胞分裂をしていて、時間とともに新しい細胞に入れ替わっていきます。しかし、唯一、脳だけは原則的に新しい細胞をつくらない臓器なのです。脳の神経細胞は、細胞分裂をしないで、同じ細胞をずっと使い続けます。

 

そのため、脳の神経細胞にiPS細胞をばらまいても、そこで分裂が起こり、新しい脳神経細胞がつくられるかどうかはわかりません。

 

もし仮に、新しい脳神経細胞ができて、古い細胞にとってかわったとしても、それは、これまでのデータが書き込まれていないまっさらな脳になってしまいます。当然、新しい神経細胞に、これまでのデータを書き写す技術が必要となってきますが、いまのところ、そのような技術は実現不可能です。

 

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70歳が老化の分かれ道

70歳が老化の分かれ道

和田 秀樹

詩想社

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