「性別」は本事例の判決において重要な要素のひとつ
「賃借人は,平成17年8月14日に,賃貸人に対し,本件建物備付けのクーラーの修理を頼む際に,「19日はできるだけ,部屋にいるようにします。仕事の都合上無理だったら仕方がないので,入っていただいても大丈夫なように片付けておきます。」と言ったと認められる。」
「そして,賃借人の上記の発言は,同月19日については,賃借人の立会いなしでの立入りを承諾したものと認められる。しかし,上記の承諾は,「19日」と日付を特定しているほか,「入っていただいても大丈夫なように片付けておきます。」という言葉からも,他の日に入られるのは困るという賃借人の意図を十分に読みとることができるものである。」
「したがって,上記の承諾は,同月19日についてなされたもので,同月18日についても,賃借人の立会いなしでの立入りを承諾したものと認めることはできない。」
上記のように、立ち入りの承諾が認められないと認定した上で、
と述べました。
なお、慰謝料の額については,賃借人は10万円を請求していましたが、判決では、
と判断されています。
本件は、賃借人が女性であったことが、違法と判断したひとつの要素となっており、これが仮に単身男性だった場合はどうだったのか、という点で若干疑問はありますが、いずれにしても、賃貸人としては、争いを避けるためには、貸室に立ち入る際の承諾は「確実かつ正確に」得ておく必要があると言えます。
この記事は2020年5月20日時点の情報に基づいて書かれています(2021年12月16日再監修済)。
北村 亮典
弁護士
こすぎ法律事務所
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