(画像はイメージです/PIXTA)

相続人のひとりが、心身の衰えた被相続人の預貯金を無断で引き出し、あとからほかの相続人とトラブルとなるケースは少なくありません。相続の際、使い込まれた被相続人の預金をほかの相続人が取り戻すことは可能でしょうか? 長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

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    3年前は「5000万円」あったはずの母の預金が…

    Aさんが亡くなりました。残された遺産は自宅(6000万円)のみで、預金はすべて下ろされ、なくなっていました。Aさんは3年前から寝たきりで判断能力がなかったことから、カードや通帳は長男のXさんが管理していました。

     

    3年前には通帳の残高は5000万円あり、2000万円はAさんの入院費等のために引き落としがされていましたが、残りの3000万円が引き出され、使途不明金となっていました。

     

    Xさんの妹であるY子さんは、どうしたらいいでしょうか。

     

    次の①~③から選んでください。

     

    ①自宅を売却して、売却代金6000万円のうち4500万円をY子さんが受取り、1500万円をXさんが取得することとする。

     

    ②自宅をY子さんが取得し、Y子さんは代償金として1500万円をXさんに支払う。

     

    ③自宅を売却して、売却代金6000万円はXさん、Y子さんが2分の1である3000万円ずつ分けて、Y子さんはXさんに1500万円を請求する訴訟を起こす。

    預金の使い込みを見つけたら「返還請求」ができる

    最近の相続の相談では、預金の使い込みや使途不明金の返還の相談を含むものが多いです。親は入院していてお金を使うはずがないのに、亡くなったときには通帳は空っぽだった…ということはよくあります。

     

    そのほとんどは、預貯金を管理していた相続人が使い込んでしまったり、自分の口座に移してしまったりしたというものです。

     

    亡くなった被相続人の承諾なく、使い込んだり、自分の預金口座に移したりすれば、被相続人はその相続人に対し、不当利得返還請求権を行使して返還を求めることができます。

     

    被相続人が認知症などで判断能力がない場合は、有効な承諾を得ることはできませんので、相続人が生前に使い込んだり、預金を移したりすれば、被相続人に「不当利得返還請求権」が発生します。

     

    この不当利得返還請求権は、被相続人が亡くなったことにより、各相続人に法定相続分に従い、相続されることとなります。

     

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