(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。今回は、「原油価格」が1バレル=70ドル台を突破した背景と今後の見通しについて見ていきます。

原油価格の見通しと留意点

変異ウイルスであるインド型(デルタ株)の広がりは気になるものの、先行きの世界経済の正常化の流れに大きな変化はなく、下値では押し目買いが入りやすいと想定している。

 

当面のリスクとしては、OPECプラスによる8月以降の減産幅の縮小が挙げられよう。ただ、7月1日のOPECプラス会合で市場の想定以上となる減産幅縮小の動きとならなければ、短期調整の動きを挟みながらも原油価格の上昇基調は継続すると考える。

 

またテールリスク(低い確率であるが大損失を被るリスク等)として、米長期金利の急上昇の可能性も頭の片隅に入れておきたい。6月のFOMCではタカ派寄りとなったが、パウエルFRB議長が22日の議会証言でインフレ加速については一時的との見方を改めて強調。予防的な利上げに対しても否定的な見解を示したことなどから当面、米長期金利が急上昇するリスクは小さいとの市場の見方が強まっているため、ここではテールリスクとしている。

 

とはいえ、米長期金利が低位安定し、過剰流動性の継続から投資家のリスクテイク意欲が強まり、原油価格が一段と上昇した場合は、コストプッシュ型のインフレ圧力を通じて各国中銀の量的緩和の早期縮小(観測含む)につながる可能性もあろう。そうした場合、長期金利に上昇圧力がかかることで商品価格や株式など他のリスク資産に下押し圧力を強めることも想定される。

 

6月10日に発表された5月の米CPI(消費者物価指数)は前年同月比で5.0%上昇と市場予想(同比4.7%上昇)を上回る内容となったが、主要項目別にみると、「中古車・トラック(同比で29.7%上昇)」に次いで、「ガソリンなどを含むエネルギー(同比28.5%上昇)」が上昇のけん引役となっていたことがわかる。

 

世界経済の正常化の流れやドライブシーズンという季節要因をプラスに捉えながらも、FRBの「物価上昇は一時的」といった粘り強いスタンスの変更(市場の認識変化を含む)には引き続き留意し、原油関連商品への投資に臨みたい。 

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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