(※写真はイメージです/PIXTA)

相続の際に、家族が故人の相続財産を把握できないと、相続税を正確に計算できなかったり、税務署から思わぬ指摘を受けたりすることがあります。そこで今回は、故人の財産を調べる方法と事前の対策について解説します。※本連載は、海老原佐江子氏の著書『家族に迷惑をかけたくないあなたが認知症になる前に準備しておきたいこと』(WAVE出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

相続財産には、借金などの「マイナスの財産」も含む

相続の対象となる財産(相続財産)にはどのようなものが含まれるのでしょうか。相続財産とは、相続によって引き継がれる、亡くなった人の権利・義務のことです。一般的には、土地、建物などの不動産、現金、預貯金、有価証券、宝石、美術品などが思い浮かぶでしょう。

 

しかし、財産は形のあるものに限られません。例えば、亡くなった人が誰かにお金を貸していた場合、お金を返してもらう権利(債権)も相続財産になります。著作権や特許権なども相続財産に含まれます。

 

また、相続財産はプラスの財産だけに限らず、借金などマイナスの財産も含まれるので、相続人は原則、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎます。残念なことに、「プラスの財産はいただきますが、マイナスの財産は遠慮しておきます」という希望は聞いてもらえません。

 

相続の手続きをするとなったら、まず、故人がどのような財産を持っていたのかを調べなければなりません。家族は故人がどのような財産を持っているのかを意外と把握していないものです。ましてや、離れて暮らしていればなおさらです。

 

ここでは、財産の調査はどのように進められるのか、確認していきましょう。

 

まず、故人の自宅や自室で、預金通帳、不動産関係書類、契約書などの重要書類を調べます。これらを貸金庫に預けている人もいますが、多くの人は、自宅の金庫やタンスの中など、1つの場所にまとめてしまい込んでいます。

 

また、金融機関や証券会社から送られてくる手紙やハガキから財産が判明することもあります。銀行から取引明細書や「満期日のお知らせ」などの通知が送られてきていたら、その銀行と取引きがあるということです。故人宛てに送られてくる郵便物を数ヵ月間、チェックします。

 

なお、故人が生前に利用していたと思われる金融機関には、相続人が調査依頼をすれば、取引きの有無を教えてくれます。

 

金融機関口座の通帳の出入金もチェックします。ローンの返済などが口座から引き落とされていたら、債務があることが推測できます。

 

もし、故人の財産に不動産があれば、法務局から登記事項証明書を取り寄せます。所有する土地や建物に抵当権がついていたら、抵当権者となっている金融機関等に借入金があったり、預金口座があったりする可能性があります。

 

ネット証券の株式、ネット銀行の預金、FXや商品先物取引、仮想通貨などにはとくに注意が必要です。インターネット上の取引きの場合、通帳などの現物がありません。また、手紙やハガキの代わりに、メールやアプリの通知でお知らせが届くものもあり、本人以外の人がその財産の存在を知るのはとても困難です。

 

とくにリスクを伴う商品をインターネット上で運用しているような場合は、相続人が知らない間に多額の損失を被ってしまったり、反対に価格の高騰によって多額の相続税を申告漏れしてしまったりすることもあります。これらの取引きをしている人は、必ずどこで何の取引きをしているのかを、残された家族にわかるようにしておきましょう。

 

残された家族が、このような財産を調べるのは大変な手間で、相続人全員が集まって一斉にできるのならまだいいのですが、なかなかそういうこともできません。一部の相続人が財産を調べていると、「財産を隠したのではないか」などとほかの相続人からあらぬ疑いをかけられ、トラブルになることもあります。

 

このような手間や争いを避けるためにも、元気なうちに自分で財産を整理して、財産目録をつくっておきましょう。

 

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家族に迷惑をかけたくないあなたが認知症になる前に準備しておきたいこと

家族に迷惑をかけたくないあなたが認知症になる前に準備しておきたいこと

海老原 佐江子

WAVE出版

2025年には高齢者の約5人に1人がなるといわれるとおり、誰にでもリスクがある認知症。認知症になると、「預金が引き出せなくなる」「遺言を残せなくなる」「介護施設の入居契約ができなくなる」等、社会生活で大きな制限が出て…

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