「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

住宅購入資金なら贈与税を非課税にできる特例

正解:親からもらえば、贈与税の特例が使える

 

自宅を購入するときの頭金を、両親や祖父母から協力してもらうというケースを思い浮かべてください。このときに問題になるのが贈与税です。

 

ただ、条件を満たせば、数千万円単位の資金をもらっても非課税にすることができる特例があります。それが、「住宅取得資金贈与の特例」です。贈与税にはもともと年間110万円の基礎控除額があるのですが、特例を使えば、さらに最大3000万円もの贈与を非課税にすることができます。

 

住宅取得資金贈与の特例を使えば、最大3000万円もの贈与を非課税にすることができるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
住宅取得資金贈与の特例を使えば、最大3000万円もの贈与を非課税にすることができるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

では、具体的な効果をシミュレーションしてみましょう。

 

親から住宅取得資金として2000万円をもらったとします。特例を使わなければ、贈与税は585万5000円です。これを、特例でゼロにできる可能性があるので、ぜひとも活用すべきです。

 

ちなみに、贈与税の計算方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」という2パターンがあり、住宅取得資金の特例の計算もそれぞれ設けられていますが、ここでは原則的な暦年課税のパターンで説明を進めます。くわしく条件を見ておきましょう。

 

住宅取得資金贈与の特例は、平成27年1月1日から平成33年(令和3年)12月31日までのあいだに、父母や祖父母などの直系尊属からの贈与により、自宅を取得した場合に使えるものです。ですから、叔父さんや兄弟からの贈与であったり、もらった資金を住宅取得以外に使ったりという場合は特例の対象外になってしまいます。

 

非課税とされる金額は、その購入にかかった消費税の状況や、住宅が省エネ住宅か否かによっても違います。

 

この非課税枠に収まれば贈与税はゼロです。超えたとしても、超えた金額のみが贈与税の対象なので、やはり納税額をかなり抑えることができます。

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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