50代で貯蓄なし…定年後の生活はどうなる?
ここで考えたいのが、もし50代で貯蓄できなかったら、ということです。非金融資産保有世帯は、60歳代で18.3%。「200万円未満」の世帯も合わせると、60歳代世帯の4分の1にもなります。もし貯蓄額が最も増える50代で「貯蓄なし」だったら、どのような未来が待っているのでしょうか。
総務省『2020年家計調査 家計収支編』で、年金世代となった65歳以上の平均的な家庭を見ていきましょう。
世帯人員:2.43人
世帯主の年齢:74.3歳
持家率:92.9%
消費支出:24万1724円
うち食料:7万2069円
うち住居:1万5495円
うち光熱・水道:2万1703円
うち家具・家事用品:1万1387円
うち被服及び履物:5786円
うち保健医療:1万6116円
うち交通・通信:3万266円
うち教養娯楽:2万393円
うちその他の消費支出:4万8020円
仮に夫婦ともに正社員として60歳まで勤め上げたとしましょう。ふたりで手にできる年金の総額は概算で28万円/月。家計調査の平均値と比較すると、プラス4万円。50代貯蓄なし世帯でも、定年後に十分に生きていくことはできる計算です。
しかし月28万円の年金を手にするのは、夫婦二人とも正社員として40年近く働き、平均値以上の年収を手にしていた場合です。結構、ハードルの高い条件ではないでしょうか。
また家計調査では、持ち家率は90%超で住居費は1.5万円程度となっています。賃貸派の場合、夫婦で賃貸住宅に住むのに、家賃1.5万円ではすまないでしょう。賃貸派であれば、貯蓄なしでも生きていけるという前提は崩れてしまう可能性があります。
さらに年齢があがるにつれて、介護や医療への出費は増加していきます。厚生労働省『サービスにかかる利用料』によると、要介護5で介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入居した際の1ヵ月の自己負担額は、多床室を利用した場合で10万2200円、ユニット型個室を利用した場合は13万9500円。介護老人福祉施設の平均入所期間は約4年といわれているので、多床室で年間約122万円、4年で約490万円、個室で年間約167万円、4年で約669万円の出費は覚悟しておく必要があります。
このように見ていくと「50代貯蓄なし」の場合、年金から将来の医療費、介護費を捻出しなければならず、平均的な年金生活を送るのは難しいと言えます。状況によっては、すぐに老後破綻に陥る可能性が高いと言わざるを得ません。
50代は一番の貯蓄ができるタイミング。将来を見据えて、計画的な資産形成をすすめていきたいものです。
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