具体的には、
「民法599条は借主の死亡を使用貸借の終了原因としている。これは使用貸借関係が貸主と借主の特別な人的関係に基礎を置くものであることに由来する。」
「しかし、本件のように貸主と借主との間に実親子同然の関係があり、貸主が借主の家族と長年同居してきたような場合、貸主と借主の家族との間には、貸主と借主本人との間と同様の特別な人的関係があるというべきであるから、このような場合に民法599条は適用されないものと解するのが相当である。」
と述べて、借主の使用貸借は終了せず、借主の相続人に引き継がれる、と判断しました。
使用貸借は、契約書等存在することが極めて少なく、親子などの特別な人的関係によってなされるもので、その終期などがはっきり決められていないため、法律関係がかなり曖昧なことが多いです。
本件のように、法律の規定がそのまま形式的に当てはまらず例外も認められますので、使用貸借を巡って争いとなった場合には、過去の経緯から遡って人的関係を丁寧に主張していくことが肝要です。
※本記事は、北村亮典氏監修のHP「相続・離婚法律相談」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所弁護士
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走