相続税の申告と納税は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に行うというルールがあります。一見十分な期間があるように思えますが、いざ相続の段になると、やるべきことが多すぎて、時間が足りなくなる人も少なくありません。では、もしも申告期限に遅れるとどうなるのでしょうか。相続専門税理士が解説します。

申告期限に間に合わなければ、ひとまず多めの概算で

申告期限内に多めの概算で申告し、多めに相続税を支払っておく方法と、法定相続分で申告し、申告期限後3年以内の分割見込書を提出する方法があります。

 

●概算で申告

 

相続の発生から10カ月以内という相続税の申告期限までに、申告の準備が間に合わないというようなケースでは二つの対処方法が考えられます。

 

一つは、申告期限内に多めの概算で申告し、税額を多めに支払っておくという方法です。少なめの申告ですと、加算税、延滞税を心配しなければなりません。

 

後日、正しい税額の計算をし直し、その旨を税務署に申告し(更正の請求)、多めに支払った分の税額の還付を受けます。

 

●分割見込書の提出は申告期限内に

 

もう一つは、法定相続分で申告し、併せて「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出するという方法です。

 

申告期限までに遺産分割がまとまらない場合、とりあえず法定相続分で分割したとして、遺産は未分割のまま申告を行うというものです。

 

のちに遺産分割が確定した段階で、税額が増える相続人は追加で税額を納め、減る相続人は還付を受ける手続きをとります。

 

ただし、この方法は本来の申告期限までに、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することが必須です。

 

●更正の請求の期限に注意

 

相続税法の特例には、「事業承継税制」や「農地の納税猶予」のように申告期限内に申請しておかなければ使えない特例があり、また、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」のように相続人全員で遺産分割協議を行い、その資料(写し)の添付が必要な特例もあります。

 

「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、その後、分割が成立した場合において、その分割に基づき「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4カ月以内に更正の請求を行う必要があります。

 

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