「家を守りたい」という思いを覆した長男は…
今回のケースの場合、生活拠点を移したり、2つの住居を維持するのは、現実的な選択肢ではありませんでした。庭には素晴らしい枝ぶりの植木が何本もありますが、プロによる剪定など今後の維持が負担になりますし、賃貸に出さない限り固定資産税は持ち出しです。また、家自体も築30年以上経過してすでに老朽化が進み、賃貸に出すにはかなりの修繕費がかかることが予想されました。
当初は父親の暮らした家を守りたいと思い、そのつもりで弟と遺産分割協議をした小野さんでしたが、事情を総合的に判断し、売却を提案した筆者の意見に納得され、方向転換を図ることになりました。結果的には無事に売却ができ、大変喜んでいただくことができました。
懐かしい家は動産へと姿を変え、維持管理が容易になっただけでなく、今後の選択肢も増えました。引き継いだ父親の資産をこれからも大切に守りつつ、活用していただけたらと思います。
※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走