2025年には、日本の中小企業の約半分にあたる127万社が「後継者不在」になると予想されており、「事業承継」や「M&A(企業の合併と買収)」による対策が急がれています。今回は、M&Aで会社を売却したときに仲介会社に支払う費用について解説します。※本連載は、植木康彦氏、髙井章光氏、榑林一典氏、宇野俊英氏、上原久和氏の共著『ゼロからわかる事業承継・M&A90問90答』(税務研究会出版局)より一部を抜粋・再編集したものです。
M&Aの相手先探しを「外部委託」するには?
Q. 後継者をM&Aで外部に委ねることを決めました。M&Aは初めてで不安です。そのため専門機関と専門家に相談したいと思います。どのような外部の専門家・専門機関がありますか。また、どのような場合で役に立つのでしょうか。また、どのように探せばよいですか。
Q. M&Aの専門家・専門機関としては士業(公認会計士・税理士、弁護士等)、金融機関、M&A仲介・FA会社、事業引継ぎ支援センター※などがあります。M&Aの準備から最終契約条件交渉までそれぞれの部分で、全体若しくは一部の支援をしています。
※2021年4月より、「事業承継・引継ぎ支援センター(https://shoukei.smrj.go.jp/introduce/)」に変更になりました。
顧問税理士や取引金融機関、商工団体にご相談いただくほか、事業引継ぎ支援センターの窓口相談やM&A仲介・FAのセミナーで探すこともできます。そのほかに相手先探索に特化したプラットフォーマーと言われるマッチングサイトも活用が始まっています。
M&Aの意思決定ができた場合に、誰に相談するかは譲渡側・譲受側共に候補先があるかどうかによって異なります。
最近は事業承継に限らず、中小企業でもM&Aが経営手法の一つとして認知されつつあります。そのため当事者同士で初期的な同意はできているものの、互いにM&Aは初めてであったり、進め方や手法について不安を持っているケースは増加傾向にあるというのが現場での実感です。
そのため相手先探索は省略し、一定程度互いの状況は把握しているが、デューデリジェンスによるリスクの洗い出しや売買価格の考え方、譲渡手法と手続で不安を抱えています。その場合は専門機関・専門家として専門的見地から支援することが求められています。
1.士業
税理士を始めとする士業の方々は専門性が高いので、まずはその専門的な知見を活かすことができます。
2.金融機関
金融機関は中小企業に日常的に接して経営状況を把握しており、中小企業に対してきめ細かな経営支援等を実施しています。また、金融機関が取引先会社の事業実態を理解し、そのニーズや課題を把握し、経営課題に対する支援を組織的・継続的に実施することが取引先会社の価値向上に資することでき得る立場にあります。
金融機関のM&A自体のノウハウ・支援姿勢には若干のバラツキがみられるところではありますが、昨今金融機関がM&Aを支援メニューとして加えるところはかなり増加しており、譲渡代金の融資要請の前に事前相談することは有効であることが多いです。
3.M&A専門業者等
M&A専門業者は主に後継者不在企業に対して候補先探索からクロージングまでを主要支援メニューとしていますが、相談すると相手先が既に決定している状態で支援をする場合があります。
4.事業引継ぎ支援センター(公的窓口)
事業引継ぎ支援センター※は全国47都道府県に設置された国の事業です。主として事業引継ぎ(M&A、役員・従業員承継)のお手伝いをしています。相談料は何度でも無料で、かつ候補先が決まっているディールやセカンドオピニオンで利用できます。
※2021年4月より、「事業承継・引継ぎ支援センター(https://shoukei.smrj.go.jp/introduce/)」に変更になりました。
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Ginza会計事務所
公認会計士・税理士
1962年新潟県柏崎市生まれ、明治大学商学部卒業
高野総合会計事務所パートナーを経て、Ginza会計事務所創立(代表)
現在は、事業再生、事業承継、M&A、財務・税務DD、価値評価、税務支援等の業務、及び経営者の参謀役に注力。
事業再生研究機構理事
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髙井総合法律事務所
弁護士
1992年司法試験合格、1995年第二東京弁護士会弁護士登録。あさひ法律事務所(現あさひ法律事務所、西村あさひ法律事務所)アソシエート弁護士勤務、須藤・高井法律事務所パートナーを経て、髙井総合法律事務所開設(代表)。
企業法務、企業組織再編実務、企業再建実務、中小企業関係実務など幅広く業務を行っているほか、『ケーススタディ事業承継の法務と税務』(ぎょうせい、2018年)など事業承継に関する書籍や記事を多数執筆。
現在、日本弁護士連合会日弁連中小企業法律支援センター副本部長、中小企業政策審議会臨時委員(経済産業省)、「事業引継ぎガイドライン」改訂委員会委員(中小企業庁)、事業引継ぎ支援事業の評価方針検討会委員(中小企業基盤整備機構)、日本商工会議所経済法規専門委員会委員など務める。
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OAG税理士法人
税理士
1965年山梨県生まれ。半導体商社勤務を経て、現在、OAG税理士法人マネジメント・ソリューション部部長、税理士。
専門誌への寄稿や講演活動のほか、経済産業省「新たな組織法制と税制の検討会」委員、「事業再生研究機構」理事、「全国事業再生・事業承継税理士ネットワーク」幹事などの委員を務める。
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株式会社UNO&パートナーズ
代表取締役
1989年株式会社三菱銀行(現、株式会社三菱UFJ銀行)入行。中小、中堅企業の法人融資を主に担当。1997年、事業会社に転じ、ベンチャー投資、M&Aを経験後、独立系のベンチャーキャピタルでフロント、バック部門を経験。2007年より安田企業投資株式会社(保険会社系ベンチャーキャピタル)でベンチャー投資、バイアウト投資に従事。
2015年7月独立行政法人中小企業基盤機構で事業引継ぎ支援事業全国本部プロジェクトマネージャーに就任(現任)。
2016年株式会社UNO&パートナーズ設立。
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上原公認会計士事務所
所長
公認会計士
関西学院大学商学部卒。2002年に北國銀行入行後、有限責任監査法人トーマツ、東京商工会議所に設置されている東京都事業引継ぎ支援センターの統括責任者補佐を経て2017年7月より中小機構中小企業事業引継ぎ支援全国本部のプロジェクトマネージャーに従事。
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