本記事は、2017年6月23日刊行の書籍『人生を破滅に導く「介護破産」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本来、施設の種類によって「入居」「入所」と書き分けるべきですが、文章の分かりやすさに配慮し、すべて「入所」に統一しています。

収入がないなら「在宅介護」を選ぶしかない現実

2016年6月19日のとある記事に、両親の介護費用が突然倍額になって戸惑う男性会社員の記事が掲載されていました。

 

東京都内在住の男性会社員Dさん(44歳)には、特別養護老人ホーム(特養)で暮らす要介護5の母親(80歳)がいます。費用の安い特別養護老人ホームに入所するために、2010年から4年も待機し、2014年にようやく入所できました。

 

しかし2015年4月の介護保険制度の改正をきっかけに、特別養護老人ホームからの請求額が食事や部屋代、介護保険の自己負担分を含めて、月額約8万円から約17万円へと突然跳ね上がったのです。

 

両親の年金収入は月額約28万円ありますが、実家の借地料(月8万円)と、その実家でひとり暮らしをする父親の生活費や医療費などの支払いがあるので到底足りず、Dさんが毎月4万円の仕送りをしているものの、状況は厳しくなったそうです。

 

2015年の介護保険制度の大幅な改正は、多くの中流家庭にとって非常に厳しいものになりました※。Dさんの両親も、月額約28万円の年金収入があるという理由で、施設の食費・居住費の補助(補足給付)を受けられる条件の対象外になり、多大な負担を強いられるようになったのです。

 

※編集部注・・・介護保険法はその後2018年にも改正され、年金収入等計340万円以上の利用者は、負担割合が2割から3割へ増加した。

 

Dさん自身も住宅ローンや子どもの教育費を抱えており、仕送りだけでも大変です。自治体の生活相談窓口に相談したところ、「国にはもう財源がないから」と担当職員から在宅介護を勧められました。

 

Dさんは、両親を離婚させて2世帯に分け、1世帯あたりの年収を抑えて住民税を非課税にすることで再び補足給付を受けるしかないか――と思い悩んでいるそうです。

 

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人生を破滅に導く「介護破産」

人生を破滅に導く「介護破産」

杢野 暉尚

幻冬舎メディアコンサルティング

介護が原因となって、親のみならず子の世帯までが貧困化し、やがて破産に至る──といういわゆる「介護破産」は、もはや社会問題の一つになっています。 親の介護には相応のお金がかかります。入居施設の中でも利用料が安い…

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