ペーパーレス化の効用は作業効率やコスト削減等の仕事面に留まらず、スタッフのモチベーションの向上にも及びます。ペーパーレス化は「働き方改革」とセットで語れることが多いですが、労働スタイルの変革だけでなく、社員一人ひとりの意識を改革してこそ本当の意味での「働き方改革」と言えるのではないでしょうか。本記事では、ペーパーレス化普及に取り組む横山公一氏が、日本におけるペーパーレス化の現状を解説します。

「働き方改革」のカギを握るペーパーレス

いま、政府主導で「働き方改革」ということがいわれています。これはペーパーレス化とセットで語られることも多く、労働のスタイルそのものの変革まで含めた概念として捉えられています。実際に企業の中でペーパーレス化が進めば、現場での仕事のしかた、働き方は、かなり様変わりするでしょう。

 

ペーパーレス化・電子化を皮切りに、AIやRPAの活用へと進歩させ、業務を高速化し、効率化させます。これまでと同量の仕事を短時間で終わらせることができますから、空いた時間に今まで以上の仕事をすることもできますし、他の作業に使うこともできます。手間のかかるルーチンワークから解放されて、クリエイティブな作業に使うことができるのです。

 

「クリエイティブ」といっても、プランニングやデザインワークをやりなさい、というわけではありません。要するに、自分の受け持ち範囲の中で、どうすればより質の高い仕事ができるのかを考えることに費やせば良いのです。

 

営業職であれば、相手に伝わる提案書の作り方や刺さるプレゼンのしかたなどを研究することができるでしょう。もともと紙を扱うことの多い経理部なら、さらにペーパーレスを進めていくためにどうするか、検討することもできるでしょう。

 

ただしこうしたアクションは、個人任せにしていては起こりません。ですからその部署のマネージャーが積極的に関わり、メンバーに声がけしながら進めていくことです。それにはペーパーレス化がどんな意味を持っているか、どんな変化が起こるか、そして今までの仕事がどう変わり、どんな未来がやって来るかを繰り返し説くことです。

 

メンバー全員がペーパーレス化の効力を理解すれば、より大きな転換が起こるはずです。

「デジタル人事評価」で、労働意欲や貢献意識を高める

人の性格はいろいろで、賑やかな人もいればおとなしい人もいます。それはその人の能力とはまったく関係ないことなのですが、組織の中ではやはり、目立つ動きをする人が評価されやすいようです。

 

ですが組織での仕事というのは、決して一人でできるものではありません。お芝居と同じで、主役の一人舞台ではないのです。脇をしっかり固める芸達者な脇役がいて、主役の魅力を引き出したり、照明や音響で臨場感を盛り上げたり。さらにその舞台にふさわしいセットを作る大道具や衣裳が必要です。それぞれの場所にいるスタッフとキャストがベストを尽くすからこそ、人を感動させる舞台ができあがるのです。

 

企業にも同じことがいえます。大きな契約を取り付ける営業職は確かに企業の花形ですが、彼らが思う存分に仕事ができるのは、その活動を支える多くの人々の働きがあればこそ。そしてベストを尽くすスタッフは、皆平等に評価されなくてはなりません。

 

企業のペーパーレス化が進む過程で、こうした人事評価のシステムも作れるのではないかと、私は考えることがあります。デジタル化すれば、ほぼすべての情報が可視化されますから、無駄があればすぐに分かります。「動きは派手だけれども、実際の業務にはあまり役立っていない」ということも、隠すことができません。その代わり、人目につかない目立たない場所で行われる貢献度の高い仕事も、きちんと拾い上げることができます。すべてのメンバーを平等に見て、評価することができるのです。

 

もしこんなシステムができれば、スタンドプレイに走る人間はいなくなるでしょう。誰もが組織に貢献するために仕事をし、それが評価されるとなれば、モチベーションの向上にもつながるでしょう。

ペーパーレス化で「活力ある組織」に生まれ変わる

ペーパーレス化によって業務が効率化し、スピードアップする。空いた時間を使ってよりクリエイティブな作業をしたり、さらなる効率化について検討を加えてみたりする。その結果、業務がさらに円滑になっていく…。このような循環が組織の中に生まれると、それは仕事の質をさらに高め、組織の力となっていきます。

 

さらにデジタル化によって情報の透明性が高まり、今まで以上に公平・公正な人事評価がなされれば、社員の満足度は高まり、仕事へのモチベーションもアップするでしょう。もちろん「公正な評価」とは、「いい加減な仕事は許されない」ということでもありますから、誰もが自分の仕事に責任感を持ち、ベストを尽くそうとします。

 

このような変化をペーパーレス化によって引き出すことができれば、それは組織にとって大いにプラスに働きます。惰性や馴れ合いで仕事をするのではなく、より積極的に仕事に関わり、自分以外の部署とも連携を深めながらさらなる効率化を検討し、進めていく。そんな活力あふれる組織に生まれ変わることも可能なのです。

 

ペーパーレス化は作業効率を高め、スピードアップを果たし、コストの削減に大きく貢献するものです。ですがうまく運用することで仕事のみならず社員一人ひとりの意識を変革し、活性化させることもできるのです。それこそ、本当の意味での「働き方改革」だと私は思うのですが、いかがでしょうか。

 

 

横山 公一
ペーパーロジック株式会社 代表取締役社長 兼 CEO
公認会計士・税理士

 

本連載は、2018年10月13日刊行の書籍『オフィスの生産性革命! 電子認証ペーパーレス入門』(TCG出版)から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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