ニュージーランド・オークランド

グローバル化が急速に進むなか、海外で子どもの幼少期や初等、中等教育等の早い段階から英語環境におくことで、英語のみならず、国際感覚を身につけさせたいと考える富裕層が増えている。本記事で紹介するのは、ラグビーでも注目が集まっている「ニュージーランド」。数多くの留学サポートを手がける株式会社アエルワールドで海外生活カウンセラーとして親子留学を担当する北原万紀氏が、「家族長期留学」についての最新事情を解説する。

注目される教育プログラム「国際バカロレア」とは?

ニュージーランドの人口は495万人で、その3割にあたる140万人ほどががオークランド、第2と都市であるクライストチャーチに35万人、首都のウェリントンに20万人ほどが住んでいます。この都市別人口を見てわかるように、大都市と呼ばれる規模の都市はあまりなく、この3都市を中心に留学を検討される方がほとんどです。

 

ニュージーランドを親子留学の渡航先に選ぶ方の多くは「ニュージーランドがいい」というこだわりを持った方が多く、ニュージーランドへの渡航経験があるか、知り合いから聞いてよさそうだったという方が多いのが特徴かもしれません。

 

ラグビーワールドカップが日本で開催され注目を浴びているニュージーランドですが、そのホスピタリティーの高さについて触れられた記事や動画を目にする機会が多くありました。ニュージーランドに留学した人たちが口を揃えて言うのが「人の良さ」です。

 

ニュージーランドの学校はオーストラリアと同じ1月始まりです。

 

1ターム:1月下旬〜4月初旬

2ターム:4月下旬〜6月下旬

3ターム:7月中旬〜9月下旬

4ターム:10月初旬〜11月下旬(12月から1月中旬までが夏休み)

 

ニュージーランドへの親子留学でよく名前が上がる学校があります。オークランド中心街から東に車で約15分程にあるGlendowie Collegeです。美しい自然に囲まれ、タマキ河を見下ろす高台にあるこちらの学校は、5歳から13歳までの生徒が通う小中一貫校です。

 

こちらの学校の特徴は、公立校でありながらIB(国際バカロレア)のカリキュラムを採用しています。IB(国際バカロレア)は、国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムです。世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるカリキュラムを特徴としています(詳細:文部科学省「IB教育推進コンソーシアム」)。

 

IB指定で学校探しをされる場合はほとんどが私立ですので、公立でIBをしている学校はあまり多くありません。英語を母国語としない生徒のための英語サポートや、知的に障がいを抱えた生徒のサポートもあるので、受け入れが非常に幅広く、学校も留学生の対応に非常に慣れています。

 

通常はどの国も公立校に通う際には、学区内に住んでいることが条件になることが多いのですが、この学校は留学生であれば学区内外に関わらず受け入れてくれます。また、短期での受け入れも行なっているため、条件が合えば1Term(約8〜10週間)からの留学も可能です。

 

【学校情報】

Glendowie School

 

IB(国際バカロレア)採用の公立校。国内でも充実した設備施設、優秀な教師陣による高い水準の教育で留学生にも人気の学校。生徒一人一人と丁寧に向き合い、それぞれに見合った授業展開により、個々の能力を最大限に引きのばす事を目的としています。

 

“I Care(互いを尊重する)”と言う理念を持ち、教師と生徒相互の信頼関係を大切にしています。勉学はもとより、文化的にも社会的にもバランスの取れた生徒の育成を目指しています。

 

https://www.glendowie.school.nz/japanese-landing-page/

 

入学受入:Year1〜12

入学金:NZD500

学費(年間・2020年):NZD14,000

 

ニュージーランドのビザの特徴は、5歳から学生ビザが取得できることです。5歳から小学校に通学ができるため、日本の小学校に入学するまでの幼稚園の期間をうまく使って留学ができます。先にあげたGlendowie Schoolのような学校で1Termだけを観光ビザの範囲内で過ごすのもいいでしょうし、長期留学としての渡航も可能です。

 

また、ニュージーランドは保護者ビザもあり、親御さんが学生ビザをとってご自身が英語学校に通学しながら扶養者として子どもを連れて行くことも可能です。そのため、ビザの制度からしても、ニュージーランドは柔軟な留学の設計が可能といえるでしょう。

親子で通学するなら断然「オークランド」がおススメ

ニュージーランドに留学される場合、学校の受け入れよりも考慮しておきたいのが都市選びや住宅事情です。まずは親子留学の際の都市選びから考えていきましょう。今回はわかりやすくオークランドを都市、それ以外と地方とします。

 

地方に行くと、そもそもホテルや1日または週単位から借りることができる物件の数が極端に減ります。また、公共交通機関も発達していないため、車での移動が基本になります。

 

本連載でも何度か触れているように、親子留学は旅行とは異なり、通学を含めた生活設計が非常に重要です。朝起きて、ランチや軽食の準備をして、始業時間に間に合うように家を出てお子さまを学校へと送りとどける。親子通学の場合はお母さまも学校へ向かい授業を受け、お子さまを迎えに行き、買い物を済ませて滞在先で料理または外食をすませ、翌日の準備をして…。

 

日本の生活と同じようなことを慣れない土地でやるのが親子留学ですから、学校、住宅が離れるというのはあまりおススメできません。そのため、お子さまのみの通学で、車の運転に抵抗のない方は地方でもご案内しやすいのですが、親子で通学するなら断然オークランドという選択肢をおススメします。

 

次に渡航期間によって変わる住宅事情についてです。1週間〜2週間の短期留学であれば外食でもいいし、ホテルなどで少し高額になっても構わないという方も多いのですが、1ヵ月以上の滞在となると、「自炊したい」、「少し行動範囲を広げるために車を借りたい」と、ご要望も多くなります。

 

ニュージーランドはオークランドの一部を除き、リゾート地のような高層コンドミニアムが立ち並ぶようなところは多くないため、短期貸しできるような物件の数が少なめです。リゾート地であれば、多くの短期貸しの物件があって、その回転率も高いのでリーズナブルな価格も見つけやすいのですが、ニュージーランドの状況はどちらかというとその反対です。そのため、1ヵ月を超える留学の場合、ニュージーランドの物価の感覚から考えると、リーズナブルな滞在先を探すのに意外と苦労することがあります。

 

また、留学生が多い国ですので、10代後半から20代の学生さんが滞在するような単身用の物件はある程度あるのですが、数ヵ月の滞在のためのファミリー向け物件のニーズが決して高いわけではありません。ただ、1年を超える長期留学になると話が変わってきます。通常の賃貸契約でファミリー向けの物件を探すことができるようになります。そのため、短期留学だと割高に感じる住居費も少しお得感が出てくるものです。

 

例えば、オークランド工科大学付近だと、学生向けの物件で、新しく少し広めの家具付き物件などもあるので、お子さまが小さくお一人でしたら、例えば1Bedroomで月の賃料13万円程度から探すことができます。お子さまの通学が郊外の場合や、お子さまの人数が2名以上でそれぞれに部屋を用意したいとなると、やはり一軒家になるのでもう少し高くなり、ハイグレード物件で17〜20万円ほどになります。

 

ニュージーランドの人口よりも多いといわれる羊
羊の数はニュージーランドの人口よりも多いといわれるほど

ニュージーランドへの留学で、自信を取り戻した家族

以前お客さまで、お子さまが日本の学校に少し馴染めないご様子で相談にいらしたご家族がいらっしゃいました。留学が一時的な「逃げ」の選択になると、どうしてもそれを繰り返しがちになってしまいます。しかし、先に進むための「キッカケ」として一度環境を変えることは、選択肢として大いに「アリ」だと考えています。

 

ニュージーランドは自然豊かでのんびりとしています。地方に行けば、なおさらです。直行便のない地域でしたが、そのご家族はネーピアという地域にご留学され2年ほど過ごされ、ご自身のペースを取り戻されてご帰国されました。

 

人や社会の常識のなかで過ごしているうちに、息苦しくなることは大人にでもあることです。長い人生において大きく環境を変えたことで、何か「悪い流れ」を断ち切るようなことがあります。留学はそういう意味では、「きっかけ」になり得るのかもしれません。弊社にいらっしゃるお客さまは、環境をいい訳にせずにどのような環境でもやっていけるような生き抜く力や適応力であったり、グローバルな社会において多様性を受容できる力を育むことが重要だとお考えの方が多いです。

 

日本の教育を批判して、「海外の方が絶対に良い」というような極端な発想で親子留学を選択される方はあまり見かけません。お客さまに共通しているのは、海外を含めた他者への「リスペクト」の考え方です。日本や自分の価値観との違いを受け容れ、「異なる」という認識のなかからどのように適応すべきかを考えます。もしかすると、島国である日本のなかでは「異なる」ということが良しとされずに、みな比較的同じ意見になるように同調しやすい文化があるのかもしれません。

 

ニュージーランドも移民国家の1つですが、海外では「異なる」ことが多様性の前提にあります。その「違い」を受け入れるなかで「私は人と違っていいのだ」という自分をも受けいれる体験も同時にできるのかもしれません。ニュージーランドのネーピアに留学されたご家族は、そのような経験を通じて、自信を取り戻されたのかもしれないな…と、さまざまな留学の持つ可能性に出逢う日々です。

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