残念ながら、投資に損はつきものです。なぜ、人は投資をすると損失を出してしまうのでしょうか。その理由は「家計管理能力」にあります。本記事で、投資で損をしやすい行動をとってしまいがちかどうか、5つの項目からチェックしてみましょう。

投資の秘訣は「家計管理」にあり?

投資をしていると、損をすることがあります。でも、投資で損をするのは簡単な理由です。それは「高いときに買って、安いときに売る」から損をするのですね。

 

なんだか、あきれるくらい簡単な理由ですが、どうしてわざわざ安いときに売ってしまうのでしょうか?

 

その無駄な損失を出す理由の一つが「急な出費が発生したから」です。今回は、この陥りがちなミスをなくす方法を考えてみましょう。

 

高いときに買って、安いときに売ってしまう…
高いときに買って、安いときに売ってしまう…

 

◆なぜ、急な出費が発生すると損をするのか?

 

投資をしていると、ついつい熱くなりがちです。とくに、好景気のときや、手持ちの金融商品が高騰しているときです。

 

自分の持っている金融商品がグングンと値上がりをしていると、普通はこう思います。「もっと買ったら、もっと儲かるぞ・・・」と。そうして、余裕資金で行っているはずの投資がいつの間にか、当初の予定より高額になってしまうことがあります。

 

◆下がり始めると売れない

 

さて、上り調子のときはよいのですが、ふとしたきっかけで下がり始めるのが金融商品です。あれよあれよと下がり始めると、なかなか売ることができません(たいてい「よし、もう一度回復したら売ろう」と都合のいいことを思います)。

 

さて、そんなときに、急な出費が発生したらどうなるでしょうか? 普段でしたら、投資に回すお金が余裕資金だけなので、貯金でカバーできる事態でも、のめり込んでいるとカバーできません。そうかといって、支払わないわけにもいきませんね。

 

そこでやむなく取る手段が、値下がりしている金融商品を売って、現金化する・・・です。こうして「高いときに買って、安いときに売る」という不思議な現象を自己実現してしまうことがあります。

 

投資の土台は、家計管理です。このような不思議な事態を避けるために、常日頃から家計管理に気をつけておきましょう。

あなたの「家計管理能力」は何点?

下記の5つの項目をチェックしてみてください。

 

①レシートを必ずもらう

②毎月家計簿をつけている

③積み立て貯金をしている

④毎月、ギリギリでも黒字傾向である

⑤家計簿と投資の記録表がリンクしている

 

家計も投資もお金(数字)の管理ですから、どちらも同じような能力が求められます。経理の力と似ていますね。どんな営業力や商品力のある会社でも、経理がずさんでは上手に数字の管理はできませんね。

 

上記の5つの項目のなかで、あなたはいくつ当てはまりましたか?

 

●5~4個⇒素晴らしい家計管理能力です。投資も堅調に進みやすいでしょう

 

●2~3個⇒平時はよいですが、金融危機や離職時に投資が不安定になりやすいかもしれません

 

●ゼロ~1個⇒数字が把握できていないと、気分任せの投資になりがちです。都合の悪い数字こそ、大事にしましょう

 

◆記録をつけることが第一歩

 

スポーツや研究の分野でも記録をつけることは重要です。たとえば、マラソンの練習です。

 

●どんな練習をどれだけしたのか?

●その練習に効果はあったのか?

●あれば、どのくらい成果があったのか?

●練習ができなかったときの気分や体調は?

●よい成績を残せなかったときは何を考えていたのか?

 

タイムを計るのはもちろん、一つひとつの行為に対して最適解を求めていくのは、投資でも同様です。特に投資では、こころ(気分や思いつき)が大きく行動を左右します。

 

家計簿や投資の記録表をつけていない人は、これからつけてみましょう。すでにつけている人は、それをさらに進化させましょう。おすすめは、グラフを挿入することと、思考パターンをより深く記入することです(冷静なときに見直すと「なぜ反対のことをしてしまったんだ・・・」と思うようなことも、普通にしてしまっていることがあります)。こうすることで、より客観的・冷静に判断しやすくなります。

 

◆まとめ

 

●投資は余裕資金で行うと失敗しにくい

●家計管理は投資の土台

●投資の記録をつけましょう

 

 

佐々木 裕平

金融教育研究所 代表

 

本連載は、「金融教育研究所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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