韓国で多くの暗号資産取引所が破綻危機に陥っている。韓国メディアBusiness Koreaが報じた。韓国市場で何が起きているのか? 状況を解説する。

韓国の暗号資産取引所、取引量減少で97%が破綻危機か

韓国の専門家は、「国内のブロックチェーンプロジェクトは、取引高減少など国内取引所の厳しい状況を受け、韓国ウォンの通貨ペアを持つ海外取引所に上場するなど、海外流出リスクが高まっている」と指摘した。韓国メディアBusiness Koreaが報じた。

 

韓国の早期スタートアッププロジェクトのなかには、初めから海外の取引所に上場を行うものが増加している。また、韓国取引所に上場する予定のプロジェクトも、海外での上場に動いているという。

 

◆流出の背景

 

プロジェクトが国外に流出する理由には、韓国の取引所に関わる規制強化とユーザー離れの実情がある。

 

韓国政府による暗号資産取引口座の「実名登録システム」が施行されて以降、大手4社を除く取引所で、投資家の韓国ウォンを用いた入出金ができない状況にある。

 

「実名登録システム」は、国内の暗号資産の匿名取引を禁止し、暗号資産取引所における顧客口座を引き受ける銀行に、口座の実名化を義務付けるものだ。

 

同システムが2018年1月に施行されて以降、口座の実名化を迫られた銀行は、Upbit、Bithumb、Coinone、Kobitの4取引所のみに対応。国内の多くの中小取引所は、未だ対応されていない状況だ。

 

2018年1月当時、これらの対応が行われた4取引所でも、税金のトラッキングなどを恐れた投資家が、実名口座に移行しないなどして、対応が遅れている状況があった。KYC(本人確認義務)で規制の強化を図った韓国政府だが、投資家の暗号資産取引の中止や、国外への流出につながってしまったことになる。

 

これらの影響は、国内暗号資産市場における悪循環を作り出した。ユーザーが撤退する韓国市場では、通貨の出来高が著しく減少し、それを懸念したプロジェクトが国外へと流れる。結果、ユーザー自体の資金も、一部、国外へと流出している。

 

国際市場で大きなシェアを獲得する韓国市場は、一時アルトコインバブルを支えた主要マネーの一種であったが、現在では世界の出来高ランキングにランクインする取引所はUpbitやbithumb(ビッサム)など最大手5〜6つで、97%もの取引所が出来高不足を理由に経営破綻の危機に陥っているという。

 

韓国の暗号資産取引所Prixbitが、経営不振から暗号資産取引サービスなどの業務停止に追い込まれた事例も、8月9日に確認されている。

 

◆国外取引所が囲い込みに動く

 

一方、これを商機とみる動きもある。

 

それは、流出した韓国マネーとプロジェクトの受け皿となる海外取引所だ。一部の取引所では、韓国の暗号資産プロジェクトを誘致する動きが見られており、韓国ウォンの金融マーケットを海外で開設するほか、暗号資産の上場を次々に行っている。

 

主要な国外取引所では、韓国市場への参入も検討しており、Binance Labsや中国を基盤とするBW.comなどの取引所は、韓国のスタートアップに訴求するため、韓国のブロックチェーンプロジェクトにも注力しているという。

 

韓国マネーが国外へ流出する状況を、政府がどのように捉えるか。2017年、勢いある暗号資産市場を支えた韓国の動向なだけに、韓国政府の今後の舵取りは、市場を左右するひとつの要因とみることができるかもしれない。

 

※本記事は、2019年8月21日に「CoinPost」で公開されたものです。

 

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