再現性の高い「居合抜き1分トレード」
前回(関連記事:『寄り付きに注目するトレード法…「34秒で利益確定」の事例』)、寄り付きに注目するトレード法である「居合抜き1分トレード」について、実際の筆者の結果を紹介した。この「居合抜き1分トレード」は再現性が高く同時に勝率も高い。また瞬間的に勝負が決まるため、市場に長くいる必要になくリスクも低い。興味・関心を持った一般投資家が「じゃあやってみよう」と試すのに適したトレード法だといえるだろう。
「居合抜き1分トレード」を成功させるためには、実際のトレードの流れをなぞらえ、再現すればいい。そのために、筆者の様々な事例を紹介していく。今回紹介するのは、2019年8月5日(月)の相場である。
まずは復習だが、「居合抜き1分トレード」の大きな流れは下記の通りとなる。
1.(前日)「候補銘柄」を選ぶ
2.(当日)「候補銘柄」の中からどの銘柄でトレードするかを決める
3.(当日)「買い」か「売り」か決める
4.(当日)トレードをする
「居合抜き1分トレード」でまず行うのは候補銘柄の抽出だが、これは昨晩のうちに「昨日動いた銘柄」を抽出しておく。具体的には「変動率」と「出来高」が高い「東証1部」の銘柄となる。
8月5日当日の日経平均先物は、前日終値「21,087円」に対して「20,900円」付近にまで下がっており、前日比約「マイナス180円」であった。日経平均が「マイナス300円以上」にもなると、多くの銘柄で大きなギャップダウン(=窓開け。隣り合うローソク足の間に、窓のようにぽっかり穴が開いてしまうこと)で寄り付くことがあり、ギャップが大きいと、寄り付いた後にいったん反発上昇することがある。
しかし180円ほどのマイナスでは、ギャップダウンで寄り付いたとしても、比較的小さなギャップであるため、寄り付きから素直に落ちていく銘柄が多い。実は、このような日は絶好の“空売り”日和なのである。こんな日は「居合抜き1分トレード」で、たくさんの銘柄で“空売り”することができる。
8月5日の寄り付き後、相場はどう動いたのか?
当日は8時40分ごろからパソコンを立ち上げ、気配のチェックを始めた。前日に大きく動いた15銘柄ほどをチェックしてみると、やはり良い気配の銘柄が多い。今日は入れ食いになるだろうとの予感がする。8時45分、8時50分、8時58分の気配の変化を見守る。
トレード候補銘柄は思った通りにたくさんある。「花王(4452)」「HOYA(7741)」「三菱地所(8802)」「アンリツ(6754)」「ディップ(2379)」の5銘柄だ。この5銘柄で“空売り”できそうだと判断。そのなかから「花王」「HOYA」の気配の変化を表したのが下記の表だ。
これを見れば一目瞭然だが、成り行き買いより、成り行き売りの方が、成り行き数量が時間の経過とともに増えている。また、気配値が徐々に下がっている。この気配値があまりに下げすぎてしまうと、ギャップダウンの幅が大きく、反発上昇を食らうので、候補から外していくのだが、今回は、5銘柄が良い塩梅の下げ気配で寄り付きそうである。
ちなみに、8時58時点での前日比パーセンテージは下記の通りとなっている。
ディップだけが、他と比較して気配値のマイナス幅が大きく、多少気になるところであるが、それでも今日の地合では許容範囲である。結局、8時58分過ぎに、5銘柄全てで“空売り”エントリーをすることに決めた。少し銘柄が多いので、急ぎ発注をする(発注時に、利益額、損切り額も同時に注文する)。
9時になった。9時ちょうどに寄り付いた銘柄もあるが、若干のギャップがあるためか5秒~10秒程経ってから寄り付いた銘柄が多かった。寄り付いた後は、見立てどおりに、5銘柄全てで下落していく。結局、5銘柄すべてで危なげなく、利益確定をすることができた。決済するまでにかかった時間は以下の通りである。
・5分以内での利確が3銘柄
・10分程での利確が1銘柄
・20分程での利確が1銘柄
8時40分からの気配を見始めてから、利益確定完了まで40分程。実際はエントリーした後はもう何もしないので、実質的に費やした時間は20分ほどであり、その20分ほどで得た利益は、62,000円となった。「居合抜き1分トレード」は、実に効率がよい。
山本 弘史
株式会社ソーシャルインベストメント 代表取締役