投資用マンションの提案、住宅やオフィスのリノベーションを主業務とする株式会社クリーンアップ・インターナショナルの加藤和樹氏が、実際にあった不動産投資の詐欺の手口と、その回避策を紹介します。※本連載では、資産運用や不動産投資の専門家が、投資初心者に向けて不動産投資の基本を分かりやすく解説しています。

安全・安心な不動産投資のために「詐欺の手口」を知る

不動産投資に興味があっても、「不動産投資会社に騙された!」という声を聞き、躊躇している方も多いのではないでしょうか。不動産投資は大金が動くだけに、詐欺にあった時の被害額が非常に大きくなります。そのため「不動産投資は怖い」と躊躇してしまうのでしょう。

 

これから不動産投資を始めるなら、不動産投資に関連して、過去にどのような事件が起こり、同様の事件に巻き込まれないために、どのような対策を行えばいいのか、知っておくべきです。ここでは、不動産投資に関連した4つの詐欺の手口を紹介していきます。

 

1 手付金詐欺

契約を急がせることよりも、さらに悪質なのが「手付金詐欺」です。この手の詐欺は、契約して手付金を受け取った後に、業者が姿を消すことがあります。そのため、お金が戻ってくることは、まず「ない」と思ってください。

 

【回避策】

このような会社は設立から日が浅かったり、事務所もちゃんと構えていなかったりと、簡単に消えることを想定した上での設定になっています。そのような詐欺にあわないよう、会社の情報をきちんと調べるようにしましょう。また担当者は本当に信頼できる人なのか、不動産投資の知識があるのかなどもしっかり見極めましょう。

 

2 売却詐欺

現在すでにマンション投資をされている方に電話をして、「海外の投資家や不動産投資会社がバルク買いをするため、まとめて、お持ちのマンションを売ってください」というのが、「売却詐欺」によくあるパターンです。

 

今は不動産価格が上がっているので、一見、普通の投資物件売却の営業電話に思われがちですが、「売却の文句」に罠が仕掛けています。この詐欺手口は、たとえば複数のマンションを所有されている方に「今お持ちのマンションをまとめて売ってほしい」と営業し、「最初の物件は大幅なマイナスで売却となるが、全物件を売れば利益が出る」と売却をスタートさせます。実際のところ、一番最初の物件を大赤字で売却させたあと、その業者とは一切連絡が取れなくなってしまいます。

 

これはかなりの悪徳な売却手法であり、実際被害に遭われている方が多い詐欺です。

 

【回避策】

電話で「売ってください」という話があっても、すぐに任せるのではなく、一度、お付き合いのある不動産業者の担当に確認をしてみることをおすすめします。

 

3 海外不動産投資詐欺

海外不動産の場合「青田売り」といって、造成工事や建築工事が完了していない段階で、宅地や建物の販売を行うという、未完成物件の販売が主流になっております。早い段階で購入を決断すれば、完成してから購入するより安く手に入るというメリットがあります。

 

しかし海外の場合、国の情勢が安定していないことも多く、物件の工事が一向にに進まなかったり、完成する前に会社が倒産してしまうケースは少なくありません。意図的に会社をなくすケースもあるので、注意が必要です。

 

【回避策】

海外不動産投資の場合でも、実際に現地に足を運ぶようにしましょう。その際、物件がまだできていなくても、周辺の環境やこれからの開発状況を確認するようにします。さらにこれからお付き合いしていく業者の実績や人をよくチェックして、信頼できるかどうか、見極めることも重要です。

 

今は海外に進出している日本の不動産投資会社も多くあります。言葉がきちんと通じるので、そのような会社から購入することも、リスクヘッジのひとつといえるでしょう。

 

4 源泉徴収票改ざん詐欺

昨年、スルガ銀行による貯金残高の改ざんが問題になりました。これは投資家の勤めている会社から発行される源泉徴収票を改ざんする詐欺手口です。投資家の年収が審査基準に足りてないにも関わらず、「審査は通りますよ」といって源泉徴収票を改ざんする業者がいたのです。

 

源泉徴収票を改ざんすれば、誰でも審査は通ってしまいます。もちろん絶対にやってはいけない、立派な犯罪です。何も知らない投資家自身が、文書偽造罪と詐欺罪で、銀行から訴えられてしまうケースがありました。

 

【回避策】

融資に際し、金融機関によって審査基準は異なります。自分の場合、融資はいくら受けられるか、複数の業者に確認して、把握するようにしましょう。

万が一詐欺に遭ってしまったら?

不動産投資関連の詐欺には法律の網をかいくぐる様な手口もあるので、法律のプロに任せるのが一番です。とはいえ、弁護士にも得意・不得意があります。不動産に詳しいとうたう弁護士を調べて相談するようにしてください。

 

またエビデンスとして、取引の際に使った資料や書類があるのとないのとでは、その後の対応が大きく変わってきます。リスクヘッジとして、どのような書類でも必ず保管しておき、弁護士に相談する際には持っていくようにしましょう。

 

 まとめ 

最近、不動産投資に関連するネガティブなニュースを見ることが多かったと思います。詐欺を行う業者がいることで、不動産投資は悪く見られる傾向にありますが、一方でネガティブなニュースは、不動産投資というものがどのようなものなのか、きちんと知るよい機会にもなりました。

 

最近は不動産投資に関して、様々な手法で情報収集ができます。つまり、自身の努力次第で、不動産投資の知識を高めることができるのです。しかし、手にした情報が正しいのか、見極める必要がありますが、個人だけで判断するのは難しいものです。そこで、業界の最新の動向や専門知識、豊富なノウハウを持っている、信頼できる専門家を見つけ、アドバイスをもらいながら不動産投資を行うことが重要なのです。

 

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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