一般贈与より有利になるケースもある「特定贈与」の概要

前回は、「暦年贈与」の活用法などを説明しました。今回は、一般贈与よりも低い税率が適用されるケースもある「特例贈与」などを中心に見ていきます。

一定条件を満たす場合には「特例贈与」が効果的

平成27年1月1日から増税となったのは相続税だけでなく、贈与税も同様です。最高税率が5%上がり、55%となりました。一括で3000万円を超す贈与を行う場合には、以前より高い贈与税が課されます。


しかし、これは一般贈与の話であり、贈与には新たに「特例贈与」という制度が設けられました。それは、「20歳以上のものが父母や祖父母から贈与を受けた場合」には、一般贈与よりも低い税率が適用されるというものです。最高税率は55%と変わらず、4500万円を超える贈与を一括で行った場合はどちらであっても同じ税率が適用されますが、400万円から4500万円までの贈与であれば、特例贈与の方が低い税率となっています(図表1)。

 

また、特例贈与の場合、3000万円以下の贈与については増税前よりも税率は緩和されているので、相続税が増税された分、この贈与税の緩和を利用すれば、税額のアップを回避することが可能です。

 

【図表1 贈与率】

相続開始から3年以内に行われた贈与は相続財産に

親が高齢もしくは体調が思わしくないなど相続まであまり間がない場合は、この贈与には少し注意が必要です。相続開始から遡って3年以内に法定相続人に行われた贈与については、相続財産に戻して相続税を計算せよ、というルールがあります。


たとえば現金50万円の贈与を受けた場合には、贈与税の非課税枠内なので贈与税はかかりません。しかし、3年以内の贈与財産の加算対象になりますので、現金50万円を相続財産に加算し、相続税を再計算することになります。贈与税の非課税枠を超えて贈与税を払っていた場合は、相続税を再計算した後に、贈与税として支払った額が控除されますので二重課税となることはありません。しかし、相続が差し迫っているタイミングでの贈与は効果がなくなってしまう可能性があるのです。


贈与をする場合は、相続発生が迫っているような段階で行わず、3年以内の持ち戻しがあっても節税効果が出るように、余裕を持って計画的に行う必要があります。

本連載は、2014年8月25日刊行の書籍『相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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税理士法人大久保会計 税理士

1974年埼玉県熊谷市生まれ。一橋大学経済学部卒。税理士。これまでに扱った相続案件は事務所として数千件を超え、相続人の立場を考えた相続税対策にノウハウと実績がある。自身も、祖父が埼玉県行田市に60年以上前に開業し、現在は父親が代表社員をつとめる税理士法人大久保会計にて事業継承中。日本政策金融公庫認定農業経営アドバイザー。行田青年会議所会員(2014年現在)。

著者紹介

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50 のこと

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50 のこと

大久保 栄吾

幻冬舎メディアコンサルティング

額の大きな相続は、しっかり対策をとらないと相続税が大変。だからといって親が生きているうちから子が積極的に相続対策に関与することは「縁起でもない」ということで、なかなか難しい。 本書では親が生きているうちから、子…

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