負の相続財産に対処するための「相続放棄/限定承認」とは?

前回は、有効な相続対策を講ずるために、まず現時点での相続財産額を把握する方法について説明しました。今回は、負の相続財産に対処する方法と、相続税の申告時に留意する点について見ていきます。

相続放棄と限定承認の違いとは?

「相続放棄」は、正の財産も負の財産も一切相続しないという方法です。正の財産より借金などの負の財産が大きく、相続しても相続人が負の財産を返済することができないことが明らかな場合は、相続放棄をしたほうが良いでしょう。相続放棄は、相続人が個人で、相続する・しないを決めることができます。複数いる相続人のうちの1人だけが相続放棄をすることも可能です。


「限定承認」は、相続人が正の財産の範囲内で負の財産を引き継ぐという方法です。負の財産が正の財産より明らかに多い場合や、分かっていない借金が残っていそうな場合などに有効です。限定承認をしておくと、後から多額の借金などが判明した場合でも、相続した正の財産を超えての返済はしなくてかまいません。結果的に負の財産より正の財産のほうが多かったとしても、財産はそのまま引き継げます。

特例適用を受ける場合、相続税額がゼロでも申告が必要

相続税の申告は、相続税の納税が必要な場合に必要です。また、「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」などの適用を受けようとする場合は、相続税額がゼロでも申告しなければなりません。申告することで初めて適用になるからです。


申告の義務は、被相続人の財産を取得した全員(相続人や遺言書によって遺産をもらった人など)にあります。共同で申告書を作成しても良いですし、共同での作成が困難・不都合な場合は、各々で作成することもできます。申告の書類一式は、相続税がかかりそうな場合には税務署から送付されてきますが、税務署に行くともらえます。税務署のホームページからダウンロードもできます。

 

申告手続きは、申告書の提出をもって行います。被相続人が死亡した時の住所地を管轄する税務署に申告書を手渡し、もしくは郵送で提出します。

本連載は、2014年8月25日刊行の書籍『相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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税理士法人大久保会計 税理士

1974年埼玉県熊谷市生まれ。一橋大学経済学部卒。税理士。これまでに扱った相続案件は事務所として数千件を超え、相続人の立場を考えた相続税対策にノウハウと実績がある。自身も、祖父が埼玉県行田市に60年以上前に開業し、現在は父親が代表社員をつとめる税理士法人大久保会計にて事業継承中。日本政策金融公庫認定農業経営アドバイザー。行田青年会議所会員(2014年現在)。

著者紹介

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50 のこと

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50 のこと

大久保 栄吾

幻冬舎メディアコンサルティング

額の大きな相続は、しっかり対策をとらないと相続税が大変。だからといって親が生きているうちから子が積極的に相続対策に関与することは「縁起でもない」ということで、なかなか難しい。 本書では親が生きているうちから、子…

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