前回は、妻には自宅を、子供には住宅取得資金を贈与することで節税に成功した事例を取り上げました。今回は、稼働率の悪い駐車場の売却代金を自宅の建て替えに充てた節税対策を見ていきます。

駐車場用地へのアパート建築は「ハイリスク」と判断

 CASE STUDY:黒田さんの場合 

4300万円の節税に成功

 

課題:亡父の遺産分割で苦労 早めの相続対策を

 

黒田さんの父親は一昨年亡くなりましたが、母親亡き後、90代まで生き、天寿を全うされました。長男の黒田さん夫婦は、両親と同居して、長年面倒を見てきましたので、黒田さんの妻も養子縁組をしています。黒田さんのきょうだいは5人で、父親は遺言を残さなかったため、遺産分割協議では一番下の弟の発言力が強く、苦労したということです。

 

黒田さんは自宅とマンションと駐車場を相続し、妻も畑を相続しました。納税は土地を売却して全員分の相続税をなんとか払うことはできました。

 

一段落したものの、黒田さん夫婦の財産が多いため、早めに節税対策をしたいと相談に来られました。黒田さんはマンションの借り入れも引き継ぎましたが、それでも不動産評価が高いことから相続税がかかります。妻も財産を所有しているので、自分の財産は子供に負担なく相続できるようにしたいということが希望です。まだマンションの借り入れが残っていることから借り入れをしなくてもいい対策をしたいとのことでした。

 

★STEP 1:相続した土地を売却する★

 

黒田さんが相続した駐車場は、以前は満車となり稼働率も良かったのですが、最近は空きが目立ってきました。そのため、今では固定資産税を支払う程度の収入にしかなりません。

 

アパートを建て、不動産収入を得ることも検討しましたが、周辺の賃貸市場が飽和状態でもあり、リスクもあると判断し、売却をして資産組み替えをすることを提案しました。

 

駐車場は角地で、面積は200坪ほどあります。整形地で道路状況も良く、建売住宅に適しています。そうした好条件が幸いし、ほどなく売却できました。相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却で、取得費加算の特例が使えますので、譲渡税は節税できます。

 

 STEP1 200坪の駐車場を建売用地として売却 

駐車場の売却代金で自宅を新築し、節税も実現

★STEP 2:現金で自宅を建てる★

 

駐車場の土地の相続税評価額は7500万円でしたが、建売住宅用地として売却することで1億円になりました。

 

相続税評価額以上の金額で売却できたため、売却代金を現金のまま保有していると、当初よりさらに相続税が増えてしまいます。節税のための対策を行うことが必要でした。

 

黒田さんの家は、父親から相続した築50年の建物です。父親が生活しているときは建て替えもできませんでしたが、やはり老朽化しており、リフォームをするか建て替えるか迷っているときでしたので、売却代金を建築資金にするようご提案しました。

 

 STEP2 売却代金を自宅の建て替えに充てて節税 

 

地震など災害の心配もあり、この機に建て替えることを決められました。借り入れすることなく、現金で家が新しくなるばかりか、節税もできることで、安心されていました。

 

 STEP3 節税効果  

 

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

本連載は、2018年5月29日刊行の書籍『図解でわかる 相続税を減らす 生前の不動産対策 改訂新版』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

図解でわかる 相続税を減らす生前の不動産対策 改訂新版

図解でわかる 相続税を減らす生前の不動産対策 改訂新版

曽根 惠子

幻冬舎メディアコンサルティング

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