前回は、道路が狭い土地や、道路がない土地の相続税評価額はどうなるのかを説明しました。今回は、がけ地や、隣地と高低差がある土地の相続税評価額はどうなるのかを探ります。

がけ地は「がけ地補正率」を掛けて評価される

<ココに注意!>

1:がけ地は平らな土地よりも利用価値が低くなるため、減額評価される。

2:土地が平坦であっても、道路から高低差がある土地は10%の減額をする。

3:高圧線の下に土地がある場合は、建築制限があるため、内容に応じて評価減の対象となる。

 

土地が平坦でなく、一部が斜面になっている土地を「がけ地」といい、平らな土地よりも評価を下げることが可能です。

 

がけ地は、平坦な土地に比べて利用価値が低くなりますので、その割合を評価して減額するようにします。

 

その土地が路線価地域にある場合には、がけ地により通常に使用できない部分の面積を算出し、土地全体の面積に対するがけ地の占める割合を求めます。そして、それを基にした「がけ地補正率」を掛けて評価額を出します。補正される分が減額となります。

 

山林や畑の場合には、平坦な土地の評価から造成費を控除することにより評価します。なお、造成費は財産評価基準書により、決められています。

 

また、土地自体は平坦でも、道路から高低差があったり、付近の他の土地と比べて著しく低くなっているような土地は、利用価値の低下している部分について、10%の減額をするなど、評価減をします。

 

高低差のある土地は階段やスロープを造ることや土留め工事に費用がかかるため、その分を減額するようになっているのです。

高圧線の下に土地がある場合は、内容により評価減

高圧線が通っている場所の下に土地がある場合は、建築制限があることが多いため、その制限内容によって土地の評価減が可能となります。

 

建築制限内容は、電力会社との契約内容ではなく、「電気設備に関する技術基準を定める省令」によって判定されます。登記関連情報、図面取得のほかに、高圧線管理者に問い合わせ、使用電圧と高圧線までの高さを確認する必要があります。

 

また、減額の評価方法は以下のとおりです。

 

①建物がまったく建築できない場合は、借地権割合または50%のいずれか高い割合。

②建物の建築に制限を受ける場合は、30%。

 

現地調査を行う際は、土地の現況を見るだけでなく、上空に高圧線が通っていないかといった点にも注意する必要があります。

 

このように土地は建築制限があるために評価減がなされます。建築ができない土地に対しての減額はありません。

 

[図表]がけ地等の評価法
[図表]がけ地等の評価法

 

<キーワード>

 

借地権割合(しゃくちけんわりあい)

土地を借りて自宅を建てて登記する場合、「借地権」が発生する。相続が発生した場合に、財産を評価するために国税局が時価に対する借地権割合を設定している。一般に東京の商業地では80~90%、住宅地では60~70%とされている。

 

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

本連載は、2018年5月29日刊行の書籍『図解でわかる 相続発生後でも間に合う 完全節税マニュアル 改訂新版』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

図解でわかる 相続発生後でも間に合う 完全節税マニュアル 改訂新版

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曽根 惠子

幻冬舎メディアコンサルティング

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