今回は、子どもに問いかけ、気持ちを知ることの大切さについて見ていきます。※本連載は、子どもたちのやる気を引き出し、考える力をはぐくむ"しつもんメンタルトレーニング"を考案したスポーツメンタルコーチの藤代圭一氏が、子どもの力を伸ばす声がけ・接し方などについて紹介していきます。

自分をもっとよく知れば、望む未来へと舵を取れる

紅茶のことを知っていれば、自分の好みに合わせて、いま必要な香りや味を楽しめるように、自分自身のことをより知ることによって、望む未来へ、自分の舵を自分で取ることができます。

 

「10年後、どんな自分になっていたい?」

「どんなときに、幸せを感じる?」

「どんな人と一緒にいると、心地よい?」

 

自分に問いかけ、自分と向き合い、自分のことをより知ること。

 

「自分のことで、知っていることは何ですか?」

 

その問いかけの答えをノートにたくさん書き込んでみると、改めて客観的に、自分のことを知るきっかけとなります。

 

そして、おなじように、子どもたち選手の力をいまよりもさらに引き出したければ、彼らのことをより「知る」ことが重要です。

 

自分のことさえ、意外と自分では知らないもの。

 

どんなときに幸せを感じ、

どんなときに怒りを持ち、

どんなときに悲しい気持ちになるのか。

 

どんな口ぐせをつぶやいていて、

どんな仕草を好み、

どんな表情で人と話しているのか。

 

自分を知る時間を作ると同時に、子どもたちのことをより知る時間を改めて作ることが大切です。

 

一番難しいことは自分自身を知ることであり、

 

一番易しいことは何もしないで助言だけ与えることである。

 

――タレス(ギリシャの哲学者)

子どもの行動だけ見るのではなく、行動した理由を探す

僕らがよくやってしまう過ちは、子どもたちの行動だけを見て、知ったつもりになっていること。

 

「彼は気が短い」

「集中力が続かない」

「やる気を感じない」

 

そうした行動だけで判断するのではなく、

 

どうしてあの時、怒りを感じたのか?

なぜ、今日は集中できないのか?

最近、やる気がない原因はなんだろう?

 

と、その理由を探してみること。

 

そして、さらに知るために効果的なのは、本人に実際に聞いてみることです。

 

「彼はどんなことを考えていますか?」

 

そう問いかけられた際に、

 

「たぶん」

「きっと・・・」

「おそらく」

 

こうした言葉が出てくる時は、子どもたちのことを「知っている」とは言えないかもしれません。

 

「どんな自分になりたい?」

「最近、どんなことで困ってる?」

「今日の試合で、どんなことを感じた?」

 

彼らの本当の考えや感じたことは、僕らの頭の中ではなく、彼らの中にあります。

 

私たちは何を知っているのか?

 

子どもたちに問いかけ、彼らのことをより知ることで、さらに彼ららしく輝く環境を整えましょう。

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