不動産経営を「専門家に任せ切り」にしてはいけない理由

前回は、不動産投資で得た収益の使い道を整理する理由と方法を説明しました。今回は、きちんと利益を生むために、不動産の経営責任はだれが持つべきかを見ていきます。

経営責任はあくまで「土地所有者」にある

今回は、きちんと利益を生むアパート・マンション経営のポイントと、筆者が考える点を整理しておきましょう。

 

①土地の特性を十分に考え、その土地に合った活用策を考える
②入居者を絞り込み、入居者に良質な建物を供給しようとする
③時代の変化があっても経営計画を修正し臨機に対応していく
④長く住み続けてもらうために、長期修繕計画を作成し良質な建物を維持していく

 

間違ってはいけないのは、経営責任はあくまで土地所有者にあるということです。中には、「自分は専門家ではないから専門家に任せていた方が安心」と考え、不動産賃貸業者にすべてを任せ切ってしまう例が見られます。

 

もちろん、不動産賃貸業者は「管理戸数がこれだけあるのでお任せください」と、自信たっぷりに言うでしょう。しかし、過去の経験だけで対応できる時代は過ぎました。

 

専門家といえども、土地所有者と一緒になって初めて直面する課題に取り組むことが不可欠の時代です。専門家だからと任せ切ってしまう姿勢は危険です。

 

他の競合物件との比較の中で、自分の物件が常に何らかの意味でプライスリーダーであるべきであり、そのための努力も必要でしょう。

 

ただ最近では、事業リスクをなるべく抑える形態が広がっています。それは、土地だけ定期借地制度を活用し一定期間賃貸し、借地人が建物を建ててそこで何らかの事業を運営する形態です。

 

土地所有者にとってみれば、土地を貸してその見返りを得るだけ。しかも一定期間後、土地は確実に返ってきます。リスクはないに等しいといえます。その代わり、受け取る収益も少ないのです。

 

背景には、所有地の有効活用を図りたいが、返済のことを考えると、借り入れは起こしたくない、と考える土地所有者が見られるようになってきたことがあります。建物さえ建てなければ、借り入れを起こす必要はありません。

 

さらに、土地を借りて建物を建てる主体が建物を所有するだけで、実際の事業は建物を賃貸するテナントに任せる形態も見られます。借地人は建物ホルダーとして機能するだけです。高齢者福祉関係の施設ではこうした形態がよく見られます。

借り入れをせず土地活用できる「等価交換」とは?

古くから、元手なしに土地の活用を図れる手法もあります。等価交換という手法です。既にご紹介したように、建設資金を負担する不動産・建設会社と組んで進める共同事業の一種です。

 

不動産・建設会社は建設資金を提供し、土地所有者は土地を提供する仕組みです。完成した建物は、不動産・建設会社と土地所有者で提供した価値に応じて分け合います。土地の一部をその価値と等価の建物に交換するわけです。

 

土地活用の手法として広まったころは、本当に等価か否かが問われました。かたや不動産・建設のプロ、かたや不動産・建設の素人です。本当に等価か否かに疑問があって尋ねても、適当にあしらわれてしまう恐れがあります。

 

そこで登場してきたのが、等価交換のコンサルタントです。土地所有者からの相談を受け、共同事業の相手である不動産・建設会社の懐具合を探りながら交渉を重ね、依頼主である土地所有者に等価であることの安心感を抱いてもらう職能です。

 

私も等価交換に関して相談に乗ることがあります。そこから建築設計の仕事に発展することもあります。そうした仕事が最近は増えています。

 

借り入れを起こさずに土地を活用したいという土地所有者には、この等価交換という手法がこれから見直されていくのではないでしょうか。

本連載は、2014年6月12日刊行の書籍『変形地の価値を高めるマンションづくり』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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株式会社環境建築設計 代表取締役
株式会社六耀 代表取締役 

早稲田大学理工学部建築学科卒業。「環境と人との接点を意識し心を配ること」を基本に、土地活用企画、分譲・賃貸マンションの企画・設計・施工管理、賃貸マンションの監理、建て替え、大規模修繕、コンサルティングなどを手がけ、35年間で300弱の竣工物件の実績を持つ。

著者紹介

変形地の価値を高める マンションづくり

変形地の価値を高める マンションづくり

宮坂 正寛

幻冬舎メディアコンサルティング

別荘地のような斜面地、一角に他人の土地を挟む変形地、奥まった場所にある旗竿地・・・。 活用をためらってしまうような条件の悪い土地を活用するためには、その土地の潜在価値を引き出すことが重要です。本書では、そのため…

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