リテールマーケットの最新動向~銀座ハイストリート①

今回は、銀座ハイストリートのリテールマーケットの動向を見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

堅調な需要が見られるも、出店意欲旺盛な業種は限定的

2017年は堅調な需要が続くも、出店条件には厳しい姿勢2017年のリテール賃貸市場では堅調な需要がみられたものの、旺盛な出店意欲があったのはドラッグストア、スポーツブランド、化粧品、食物販など、インバウンドやコト消費の需要の取り込みに成功している業種に限定された。

 

また、多くのリテーラーが出店エリア、面積、賃料など全ての条件に対して厳しい姿勢をみせており、実際の出店には至らないケースも散見された。実質賃金の伸び悩みで一般消費者の節約志向が続いており、リテーラーが収益の見通しに慎重になっていることが背景とみられる。


2017年Q3の銀座ハイストリートの空室率は0.8%で対前期比0.2ポイントの低下となった。ただし、調査を開始した2016年Q4に比べると0.4ポイント上昇しており、銀座のハイストリートとしては、やや空室が目立っている状況だ。前述のように、収益の見通しに慎重なリテーラーが多いことが空室率の上昇に反映されている。面積が小さく賃料総額が手ごろな物件の空室消化は早い一方、比較的大型の物件や賃料水準が相場に比べて強気な物件では、空室がやや長期化する傾向がみられた。

インバウンド需要が安定期へ、出店競争にも一服感

インバウンド需要の拡大に一服感、ただしプライム賃料は高止まり銀座のハイストリート全体を対象とした賃料指数(後述のプライム賃料を含む)は2016年Q2をピークに弱含み、直近2017年Q3は概ね2014年の水準に戻っている。

 

2015年から2016年にかけては、急激に盛り上がったインバウンド需要を背景にテナントの出店競争が激化、賃料もやや過熱気味で推移した。足下ではインバウンド需要の拡大が安定期に入り、出店競争にも一服感が出たことが賃料水準に反映されたと言える。

 

また、物件を長期的に保有しているオーナーの中には、相場より安い賃料水準でもテナントの銘柄を重視する事例が多くある。そういった成約事例が直近で複数あったことも、賃料水準を押し下げている。


2017年4月には大型商業施設「ギンザシックス」が銀座・中央通りに開業した。同施設の路面区画には複数のラグジュアリーブランドが入居したものの、いずれもラグジュアリーブランドの出店ニーズが旺盛だった2015年までに内定したものだ。2017年には他にもラグジュアリーブランドの出店がみられたものの、いずれも相場を下回る賃料設定をしていた物件への入居だった。


一方、銀座4丁目の交差点に近い超一等地の物件については、ブランディング戦略のため高額な賃料をいとわないリテーラーが複数存在している。その結果、2017年Q3のプライム賃料は9期連続横ばいの40万円(月/坪)と2015年Q2から高止まりを続けている。

 

[図表1]銀座ハイストリートの空室率

出所:CBRE、2017年11月
出所:CBRE、2017年11月

 

[図表2]銀座ハイストリートの賃料指数(2014年Q3=100)

出所:CBRE、2017年11月
出所:CBRE、2017年11月

 

[図表3]東京プライム賃料推移(銀座)

出所:CBRE、2017年11月
出所:CBRE、2017年11月

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写真は、リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保寛氏。
CBREのリサーチ部門の責任者として、オフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場ならびに売買市場のリサーチ業務を統括。製鉄会社および投資銀行勤務を経て1997年から2013年まで証券アナリストとして株式リサーチ業務に従事。2000年からはJREITを中心に不動産セクターを担当。UBS証券、ゴールドマンサックス証券、マッコーリーキャピタル証券、みずほ証券を経て、2013年10月より現職。

著者紹介

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