不動産マーケットに影響を及ぼす「消費市場」の動向

今回は、不動産マーケットに影響を及ぼす「消費市場」の動向 を見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

消費者の節約志向は続く一方、高額品の売上は伸張

個人消費は、わずかながらもプラス傾向で推移。ただし、実質賃金の伸び悩みを背景に、消費者の節約志向は続く。一方、高額品の売上は伸張。株高や為替の安定などにより、国内富裕層や訪日外国人の消費意欲が高まった。

 

2017年の消費市場は、やや回復の兆しをみせた。4-6月期の実質国内総生産(GDP)で個人消費は前期比0.9%増となり、消費税増税前の駆け込み需要があった2014年1-3月期以来の伸び率となった。7-9月期の個人消費は0.5%減と7四半期ぶりのマイナスとなったが、天候不順による一時的な動きとみられている。

 

また、直近(11月)の小売業販売額は、前年同月比2.2%増となった。ただし、物価変動の影響を除いた実質賃金は伸び悩んでいる。9月は前年同月比で0.1%減少し、4ヶ月連続のマイナスとなった。2016年9月の0.8%増を最後に約1年に渡って賃金の増加が物価上昇に追いついておらず、一般消費者の節約志向が続いている。

リテール賃貸市場への反映には、しばらく時間が必要か

一方、高額品の売上が伸張した。株高による資産効果や為替の安定などにより、国内富裕層や訪日外国人の消費意欲が高まったことが背景にある。

 

株式市場では4月以降、強気相場が続き、11月上旬には日経平均が約21年ぶりに22,000円台を回復した。直近10月の全国百貨店売上高では、「美術・宝飾・貴金属」が対前年同月比5.8%増と7ヶ月連続のプラスとなった。

 

「免税品」も同87.3%増の約280億円で、過去最高の月次売上高を更新している。化粧品のほか、宝飾品などの高額商材が売上を牽引した。ただし、ここ1年ほど弱さがみられるラグジュアリーブランドの出店ニーズの回復には至っておらず、リテール賃貸市場への反映にはもうしばらく時間が掛かりそうだ。

 

[図表1]実質賃金(前年同月比)

出所:厚生労働省、CBRE、2017年11月
出所:厚生労働省、CBRE、2017年11月

 

[図表2]全国百貨店売上高vs日経平均株価

出所:日本百貨店協会, Datastream、CBRE、2017年11月
出所:日本百貨店協会, Datastream、CBRE、2017年11月

 

[図表3]全国百貨店の免税売上高と増加率(前年同月比)

日本百貨店協会、CBRE、2017年11月
日本百貨店協会、CBRE、2017年11月

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写真は、リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保寛氏。
CBREのリサーチ部門の責任者として、オフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場ならびに売買市場のリサーチ業務を統括。製鉄会社および投資銀行勤務を経て1997年から2013年まで証券アナリストとして株式リサーチ業務に従事。2000年からはJREITを中心に不動産セクターを担当。UBS証券、ゴールドマンサックス証券、マッコーリーキャピタル証券、みずほ証券を経て、2013年10月より現職。

著者紹介

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