数字の印象を操作する「表現・言い回し」を見抜くには?

今回は、数字の印象を操作する「表現・言い回し」に見抜くポイントを紹介します。※本連載では、経済評論家・加谷珪一氏の著書、『ホンモノを見分けられる人にお金は転がり込んでくる!』(ぱる出版)の中から一部を抜粋し、物事の真偽を見抜くための重要なスキルひとつである「数字に強くなる」方法をレクチャーします。

「年商1億円」と「年商1億円をたたき出す!」

前回の続きです。

 

多くの人はウソをつくことに抵抗感を持っています。したがって、語られている話がまったくの捏造だったり、数字そのものが完全に虚偽だったりするケースはそれほど多くありません(ショーンK氏のように、時にはそのようなケースもあるので注意する必要がありますが)。

 

このため、先ほど取り上げたような年収と年商を曖昧にするといったテクニックが多用されることになります。これと並行してよく使われるのが、言葉を使ったニュアンスの増強テクニックです。

 

年収ではなく年商が1億円の青年実業家がいるとします。モノを売買するビジネスにおいて年商1億というのは、大きな数字ではありません。しかし、同じ年商1億円でも、「年商は1億円」と表現するのと「1億円の年商をたたき出す!」と表現するのとでは受ける印象が異なります。1億円をたたき出す、という表現の方がすごく儲かっているイメージがするはずです。

 

この言い回しはあくまで表現の問題であって、年商が1億円という事実はしっかり公表していますから、嘘、偽りはありません。しかし、人によっては、極めて強い印象を持つことになります。

「情緒的な表現」が多用されている場合は要注意

ウソをつくというリスクを回避できますから、こうした手法はあらゆる分野で多用されます。「驚異的な売上げ」「反響続々」「世界が驚いた!」「ガンガン稼げる」など例を挙げればキリがありません。

 

「驚異的」というケースでは、驚異的かどうかは人によって判断基準が異なりますから、具体的な数字がない限りは、その話を鵜呑みにすることはできません。「反響続々」も、定常的な状態ではどの程度の反響があり、新しい商品ではそれがどのくらい増えたのかが分からなければ、「続々」なのかについては判断が難しいところでしょう。

 

「日本企業の底力」といった表現も同じです。

 

底力は、普段は隠れていても、イザという時には発揮される能力のことを指しますが、これがどの程度のものなのか、言葉だけでは分かりません。しかし言葉のニュアンス自体には力強い印象がありますから、数字の実態をうまくお化粧できてしまう可能性があります。

 

そもそも能力というのは普段からしっかりと発揮すべきものであり、不必要に潜在化する必要はありません。本当に力のある企業は、定常的にしっかりと利益を稼ぎ出しているはずであり、その能力はすべて数字に表れているはずです。底力といった情緒的な表現を多用している場合には、注意してかかった方がよいでしょう。

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連載「お金の情報」の真贋を「数字」から見極める技術

経済評論家

東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っており、ニューズウィーク日本版(電子)、現代ビジネスなど多くの媒体で連載を持つ。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。

加谷珪一オフィシャルサイト http://k-kaya.com/

著者紹介

ホンモノを見分けられる人に、 お金は転がり込んでくる!

ホンモノを見分けられる人に、 お金は転がり込んでくる!

加谷 珪一

ぱる出版

お金持ちが常識としている一瞬でホンモノを見抜く技術。成功者や大富豪たちは、確固たる「真偽眼」を持っている。氾濫する情報の選び方・評価のしかた・目の付け所とは? 真偽力を磨き、成功者の「金銭感覚」に目覚めるヒント…

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