定期預金か新NISAか…親からの「220万円」をめぐる娘夫婦の口論

ヨシノリさん夫婦はレイナさんの話をじっくりと聞き、「旦那さんも家族の将来を真剣に考えてくれているのだから、感情的にならずにもう一度よく話し合ってみなさい」となだめました。数日後、レイナさんは渋々ながらも自宅へと戻っていき、夫婦でしっかりと話し合いの場を持ったそうです。

その後、なんとか離婚の危機は免れ、レイナさんたちは「半分は定期預金、半分は投資に回す」という妥協点で折り合いをつけました。

「親としては、ただ孫のために使ってほしくて生前贈与をしただけでしたが、安易にお金を渡すことは夫婦の価値観のズレを浮き彫りにしてしまうのだと痛感しました」

よかれと思って取った行動が思わぬ波紋を呼んでしまいましたが、この騒動はヨシノリさん夫婦にとって大きな気づきとなりました。

これからの老後計画や資産の引き継ぎについては、親の独りよがりにならず、家族全員で率直に話し合いながら、明るく前向きに終活のステップを踏んでいこうと決意を新たにしています。

【弁護士が解説】受け取った側がトラブルに…「生前贈与」を行う際の注意点

本件のように、善意で贈与したお金の使い道をめぐって、受け取った側の家族が対立してしまうことは珍しくありません。贈与した側にとっては非常に残念ですが、生前贈与を行う以上、こうしたリスクも考えておく必要があります。

私自身はNISAを活用した長期運用に肯定的ですが、「親から孫のために託された大切なお金」と受け止めれば、レイナさんが元本を減らしたくないと考える気持ちもよく理解できます。

法的には、贈与が成立すれば、そのお金は受け取った人の財産となり、原則として自由に使えます。本件では娘と夫に各110万円を渡しているため、それぞれが自分の分を管理・処分することになります。今回は定期預金かNISAかという対立でしたが、極端にいえば、受贈者が遊興費やギャンブルに使っても、贈与者が当然に返還を求められるわけではありません。

孫の教育費など特定の目的で渡すのであれば、贈与前に、誰へ渡すのか、何に使うのか、誰が管理するのかまで話し合っておくことが望ましかったといえます。もっとも、家族間の贈与について、将来の使途を契約で細かく縛り続けることには限界があります。

結局のところ、これは法律だけで解決できる問題ではありません。贈与の趣旨を共有し、その趣旨に沿った使い方を相手に委ねられるだけの信頼関係があるかという側面も踏まえて、進める必要があるでしょう。

山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士

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