人生100年時代といわれるようになった今、現役時代は真面目にコツコツ働いて、老後は貯金と年金で穏やかに暮らしたい。そう考えていても、「こんなはずじゃなかった」と悩まされる人は少なくありません。とくに子どもや孫への援助は、「これ以上は無理」と思っても断りづらく、徐々に老後の生活を圧迫していくことがあります。孫の誕生を機に“思わぬ誤算”に直面した60代夫婦の事例をもとに、CFPの石川亜希子氏が解説します。
「双子の孫はかわいい、でも正直しんどい…」年金月27万円・60代夫婦、“娘のSOS”でよぎった老後破産【CFPの助言】
「いつまでも甘えていてごめんなさい」…老後破産を防いだ夫婦の決断
問題は、「どこまで支えるか」という境界線が曖昧だったことでした。
トオルさん夫婦は、マユさんに正直な気持ちを話しました。これまでのサポートの内容や頻度、正直な負担感など、具体的に伝えたところ、マユさんも初めて両親の状況を理解しました。急なお迎えなど、自分と夫で対応しなければならないのに、まず両親に打診することが当たり前になってしまっていたとマユさんも反省しました。
「いつまでも甘えていてごめんなさい……」
それから、マユさんからの急なお願いは劇的に減りました。夫婦で話し合い、自治体のファミリーサポートの利用も始めたそうです。
孫たちに会う頻度が減って寂しい気持ちもありましたが、このまま何も言い出せずに援助を続けていたら、本当に老後破産に直面してしまったかもしれません。体力的にも持たなかったでしょう。
娘や孫たちの支えではありたい、しかし、援助はほどほどにすべきだなと、トオルさんは改めて思いました。
夫婦の生活にも少しずつ変化が現れました。予定表に空白の日が戻り、気兼ねなく外出できるようになり、旅行の計画も、再び現実的に考えられるようになりました。
孫たちとの時間も楽しめるようになりました。
【CFPの助言】「できること」と「暮らしを守ること」のバランス
老後資金というと、「いくらあれば安心か」という点に意識が向きがちです。しかし、実際には、お金だけではなく、時間や体力の使い方も生活の満足度を大きく左右します。
親ならば、子どもに援助したい気持ちがあるのは当然ですが、「できること」と「自分たちの暮らしを守ること」のバランスを取ることが大切です。
老後のお金は、単に不安に備えるだけではなく、自分たちらしい時間を守るためのものでもあるのです。
※1 2025年(令和7年)家計調査報告〔家計収支編〕(総務省)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2025.pdf
石川 亜希子
CFP
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