タクヤさんが告白した「まさかの事実」

「実は、会社辞めてきたんだ」「4月の人事異動で、後輩が俺の上司になってさ……あ~あ、やってらんないよな、まったく」

夫婦は開いた口が塞がりません。

「それで……あなたこれからどうするつもり?」とヤエさんが聞くと、「マンションは今月末で引き払うし、しばらく実家で暮らすつもり」と事もなげに言うのです。

夫婦の年金収入は月25万円。年金生活のはじめに家計を見直したことで、これまでは貯金を取り崩すことなく生活できていました。

しかし、無職の大人の男が一人増えれば、生活費が増えるのは明らかです。

そんな二人の不安を知る由もなく、当の息子は、実家を「三食昼寝付きのタダ宿」とでも思っているような口ぶりでした。

夫婦は自分たちの介護資金として1,000万円ほど確保していましたが、これを取り崩すことはしたくありません。

息子の将来観と、養ってもらうことを前提とした口ぶりに絶句したヨシオさんとヤエさん。自分たちの手には負えないと、第三者の意見を求めて夫婦でFPに相談したのでした。

老後資金を守るために

話を聞いたFPは、同居時のルール作りを提案しました。

最も重要なことは、息子のために「老後資金」を取り崩してはいけないということです。まずはタクヤさんに、「自分たち(ヨシオさんとヤエさん)の生活が最優先」であることをきちんと伝える必要があります。

たとえ、タクヤさんの退職理由に同情の余地があったとしても、親の経済的負担とは別問題です。子どもの自立を促すためにも、毅然と対応することが肝心でしょう。

生活費の負担

「しばらく家にいる」とは、すなわち生活・家計を共にするということ。そこで、あらかじめ「同居についての合意事項」を息子に提示し、きちんと納得してもらうことが必要です。

まず、実家に住むなら相応の生活費(食費や住居費)を負担してもらいましょう。無職とはいえ、貯金や前職の退職金があるはずです。ないと言うなら、再就職後の清算を約束させましょう。

家事の分担

また、家族が一人増える分、家事の負担が確実に増します。実家は「三食昼寝付きの宿」ではありません。食事の準備や掃除、洗濯などの一部を負担させ、親が「無償のサービス提供者」ではないということを最初に示す必要があります。

期限の設定

最後に、「しばらく」とはいつまでなのか。3ヵ月なのか半年なのか、具体的な期間を決めさせましょう。期限がきたら、再就職の状況に関わらずその後の生活について再協議する姿勢が重要です。