夫妻が下した苦渋の決断

ホンダ夫妻は、現状が長引くと、そのツケが最終的に娘を苦しめると気づきました。そこで、最悪の結末を避けるため「娘に一人暮らしをさせる」決断をします。

ただ、いきなり放り出すようなことはしません。一人暮らしの家賃相場や生活費の現実的な内訳、毎月の貯蓄目標といった、自立に必要な知識を親子で共有したうえで、「3ヵ月後から生活費を月3万円入れる」「その後6ヵ月以内に別居する」という、期限付きの段階的なルールを設定したそうです。

またマオさんも、実は「30歳までには家を出よう」と考えながらも、居心地の良さから実行に移せなかったということでした。しかし、両親の後押しもあり、計画どおり9ヵ月でひとり暮らしを始めます。

さらに、1年後には「節約意識が芽生えて、実家にいるときよりも貯金できるようになった。あの時、実家を追い出してくれてありがとう」と、マオさんから“思わぬ感謝の言葉”が。夫妻は娘の変わりように驚きを隠せなかったといいます。

娘さんからの報告に胸をなでおろしたホンダ夫妻は、「赤字を改善できたので、もう一度ライフプランを見直して、元気なうちに娘と家族旅行に行きたい」と、前向きなお金の使い方を考え始めています。

老後の家計は、ある日突然崩れるわけではありません。毎月数万円の赤字が静かに、そして確実に資産を削っていくのです。愛するわが子への援助を見直すのは簡単ではないでしょう。しかし、その援助が自分たちに、ひいてはわが子の将来にどんな影響をおよぼすのか、冷静な見極めが必要です。

親に余裕があるうちに、子どもの経済的・精神的な自立をサポートすること。それが、親子双方の人生を守る最大の防衛策であり、なによりの愛情表現だと言えるのではないでしょうか。

山原美起子
株式会社FAMORE
ファイナンシャル・プランナー

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