警察庁が発表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」によると、SNS型ロマンス詐欺は認知件数、被害額ともに前年に比べて増加しているようです。警察やメディア等が警戒を呼びかけられているにもかかわらず、被害が後を絶たないのはなぜなのか……弁護士が事例をもとに、被害者を待ち受ける「厳しい現実」について解説します。
人生最悪のゴールデンウィークになりそうです…年収600万円の55歳男性“まだ会ったことのない恋人”から告げられたGWの予定【弁護士が警告】
「ごめん、4月末までにあと100万円だけ追加で必要なの。これが解決しないと、会えなくなっちゃう……」
さすがに渋ったタカシさん。すると相手は、タカシさんの限界を察したのか、一切連絡がつかなくなってしまったのです。
「もしかして、騙された……?」
GWを目前に、タカシさんは藁にもすがる思いで弁護士に相談。果たしてタカシさんは、失ったお金を取り戻すことができるのでしょうか。
弁護士の見解
本件はいわゆる「ロマンス詐欺」の典型例です。詐欺(刑法第246条)に該当し得る行為ですが、問題は「回収の難しさ」にあります。
まず、相手の実在性や所在が不明確であることが多く、特定自体が困難です。また、仮に口座情報等が判明しても、資金は短期間で移動・引き出されているケースが多く、実務上は返金に至らないことも少なくありません。
さらに、本件のように自発的に送金している場合、形式上は「贈与」との反論を受ける余地もあり、法的構成の整理にも一定のハードルがあります。
こうした犯罪でもっとも重要なのは「被害回復」よりも「被害予防」です。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、会ったことのない相手からの金銭要求は原則として応じない、送金前に第三者へ相談する、といった基本的な対応が極めて重要になります。
実際、警察庁が発表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」によると、SNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,604件(+1,780件、+46.5%)、被害額は552.2億円(+151.4億円、+37.8%)と、警察やメディア等が警戒を呼びかけられているにもかかわらず、認知件数、被害額ともに前年に比べて増加しています。
感情的には理解できる経緯であっても、法的には保護されない場面があるという点を、冷静に認識しておく必要があるでしょう。
山村暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
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