「愛する孫のためなら」という純粋な善意……それが、実子や義理の子ども家族とのトラブルに発展するケースも少なくありません。教育費支援という名の“美談”が、いかにして家族の絆崩壊のシナリオへと変貌したのか。実際に起きたトラブル事例と、その予防策をみていきましょう。
70代夫婦、孫の大学資金400万円を援助→医療費増で「少し返してくれ」と息子に電話した結果【家族の絆が崩壊した息子の対応】
善意であっても「線引き」は必要
では、T家のようなトラブルを回避するためには、どのような対策を講じる必要があるのでしょうか。
1.贈与か貸付かを明確にする
将来、返済の必要がない「贈与」なのか、それとも返済の必要がある「貸付」なのか、いずれにしても契約書を作成して意思を明確にしておくことが大切です。むしろ家族だからこそ、曖昧にしてはいけません。
2.老後資金を守るラインを決める
教育費の支援をする前に、最低でも次の3つは確認しておきましょう。
①あと何年生きるつもりで、その場合の老後資金はいくら必要か
②介護の費用を含めたシミュレーション
③生活費の余裕資金を確保
「余剰資金の範囲内で支援する」ことが大切です。決して「たぶん大丈夫だろう」という感覚で判断してはいけません。
3.支援の背景にある「期待」を家族間で共有する
支援の背景に「将来的な同居への期待」や「介護が必要になった時の介助」などの期待がある場合、タイミングは難しいですが正直に共有しておくと、後々のトラブルリスクを減らすことができます。
教育費の支援は「愛情」か「リスク」か?
孫への教育費の支援は素晴らしい行為です。しかし、老後資金を圧迫してしまうと本来守るべき生活が不安定になります。
大切なのは、「感情で決めない」「数字で確認する」「言葉にして共有する」この3点です。
家族だからこそ、お金の話を避けない。
それが、家族の崩壊を防ぐ「最大の予防策」になるでしょう。
武田 拓也
ファイナンシャル・プランナー
株式会社FAMORE代表取締役